米上院、政府閉鎖の終結に向け動議を可決 事態打開へ前進

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アメリカで過去最長となっている政府閉鎖の一部閉鎖を終わらせるため、連邦議会上院が9日、修正した予算案を採決するための手続き動議を可決した。これによって、政府予算をめぐる与野党協議の行き詰まりが、打開される道が開けた。
週末の交渉を経て、少数派の民主党議員らが共和党議員らとともに、動議に賛成票を投じた。
政府は10月1日に予算が底をついている。共和党が主導してまとめた予算案に、野党・民主党の一部議員も合意したことで、下院は修正予算案を採決するための動議を可決した。
ただ、連邦政府の職員とサービスが復帰するまでには、予算案の下院採決など、まだいくつかのハードルが残っている。それでも、40日間続く現在のこう着状態を解くうえで、初めて本格的な進展があったことを示している。
連邦政府による業務の多くは10月以来停止しており、米史上最長の停止となっている。約140万人の連邦職員は無給休暇に置かれているか、無給で働いている。影響は、航空機の運航や低所得者4100万人への食費補助など、さまざまなサービスに及んでいる。
今回の合意案には、退役軍人や農業などを担当する政府機関に予算を提供する三つの予算案と、来年1月30日までのつなぎ予算案が含まれている。これは、来年早々にも政府機関の新たな閉鎖があり得ることを示している。
そのほか、閉鎖中もすべての連邦政府職員に給与が支払われることや、アメリカ人の8人に1人が利用し、重要な食料セーフティーネットとなっている「補充的栄養支援プログラム(SNAP)」への来年9月までの資金支出も含まれている。
多くの民主党議員に不満
今回の動議や予算案をめぐっては、共和党のジョン・スーン上院院内総務、ホワイトハウス、民主党のジーン・シャヒーン上院議員、マギー・ハッサン上院議員(ともにニューハンプシャー州)、民主党と協力する無所属のアンガス・キング上院議員(メイン州)が交渉していた。
上院は現在、共和党53議席、民主党47議席となっている。動議の可決には賛成60票が必要だった。
交渉の結果、共和党は民主党から8票を確保した。逆に、共和党のランド・ポール上院議員(ケンタッキー州)は、公的債務の増加につながるとして反対票を投じた。
賛成した両党議員らは、民主党が譲歩を求めていた重要課題(今年で期限切れとなる医療費補助の延長)について、12月に採決をすることなどで合意した。
民主党の指導層はこれまで、数千万人の国民が健康保険に加入するための補助金について、議会が対処しない限り、連邦政府へのつなぎ予算に合意しないという姿勢だった。
採決に先立ち、共和党のスーン上院院内総務は、「民主党にも共和党にも、超党派でこの危機に取り組もうとする議員がいることに感謝している」と述べた。
また、「この問題に腰を据えて取り組んでくれる大統領もいる。どういう解決策がもたらされるか楽しみだ」とした。
スーン氏は、両党議員で協議した予算案の内容を明確にはしなかった。そのため、上下両院の民主党議員の多くは、交渉にあたった民主党議員らは十分な見返りを得ずに話し合いを進めたとして、不満を募らせた。
民主党のチャック・シューマー上院院内総務は、「民主党は何カ月も、上院が医療危機に取り組むよう、闘ってきた」、「しかし今回の法案は、その危機への対処を保証するものではない」と批判した。
民主党の著名議員や首長の間には、医療保険について具体的な保証を得ないまま、政府機関の閉鎖を終わらせるために共和党側についたとして、同僚を強く批判する人もいる。カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事は、今回の採決結果を「情けない」とした。










