独ミュンヘンでデモの群衆に車が突入、少なくとも30人負傷 難民申請者を拘束

ドイツ・ミュンヘンでデモの群衆に突っ込んだ車を調べる当局者

画像提供, Getty Images

画像説明, ドイツ・ミュンヘンでデモの群衆に突っ込んだ車を調べる当局者

ドイツ南部ミュンヘンで13日、群衆に車が突っ込み、少なくとも30人が負傷した。うち2人は重体だという。当局は、アフガニスタン出身の難民認定の申請者を拘束したと発表した。

警察などによると、車は午前10時半ごろ、ミュンヘン中央駅に近いダッハウアー・シュトラッセで開かれていた交通関係の労組デモの群衆に突っ込んだ。現地の警察車両に接近したあと、スピードを上げて突っ込んだとされる。

現場では当時、約1500人がデモの最終目的地に向かって移動していたという。警察はデモと事件との関連を調べている。

デモには子ども連れで参加していた人もおり、ミュンヘン市当局によると、負傷者には子どももいるという。

警察は車に向けて1発発砲したあと、運転していた人物を拘束したとされる。容疑者が負傷したのかは不明。

警察によると、車を運転していたとみられるのは24歳のアフガニスタン人で、難民認定の申請者。現場で拘束された。現地メディアは「ファルハド・N」という名で報道している。

警察によると、ミュンヘンで暮らしているという。動機は不明。

容疑者に「過激派の背景」がうかがわれることから、テロ対策担当が捜査を引き継いだと、警察は説明した。

動画説明, ミュンヘンの事件現場には救急車両や警官が多数出動した

事件の目撃者はBBCに、現場では人々が近くの店や住居ビルに逃げ込んでいたと話した。近くの喫茶店で勉強していたという学生は、「もちろんとても不安だ」と述べた。

ドイツではこのところ死傷事件が相次いでおり、移民が起こしたとされるものもある。

オラフ・ショルツ首相は、今回の事件で車を運転していた人物は「罰せられ、この国を出なくてはならない」と述べた。

現地では14日から「ミュンヘン安全保障会議」が開かれる予定。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領やアメリカのJ・D・ヴァンス副大統領など、各国首脳が到着することになっている。

警察は、同会議と今回の事件には関連がないとみている。

移民が議会選の争点となる中で

ドイツでは今月23日に連邦議会選挙が開かれる。今回の事件で、移民と安全保障の問題が再び前面に押し出された。

ドイツ通信社によると、拘束された容疑者は、未成年だった2016年にドイツに渡った。翌年、難民認定を申請したが退けられ、2020年秋に強制送還されることになっていたという。

バイエルン州政府のヨアヒム・ヘルマン内相は、アフガニスタンでの安全に対する懸念から、容疑者は出国を強制されなかったと説明した。

ミュンヘン警察によると、容疑者は有効な滞在許可証を持っているという。

現場で車を調べる当局者ら

画像提供, Getty Images

画像説明, 現場で車を調べる当局者ら

バイエルン州政府のマルクス・ゼーダー首相は、今回の事件が「攻撃だった疑いがある」とし、「ドイツで何かが変わらなくてはならない。それもすぐにだ」と述べた。

ドイツでは昨年12月にも、東部マグデブルクでクリスマスマーケットに車が突っ込む襲撃事件が起きている。この事件では6人が死亡、300人が負傷した。

バイエルン州アシャッフェンブルクでは3週間前、公園で幼児と41歳の男性が刺殺された。容疑者は、ジハード(聖戦)主義に共鳴しているとみられていたアフガニスタン人だと判明。ショルツ首相は当時、なぜこの容疑者がドイツにいたままだったのか解明する必要があるとした。

度重なる襲撃事件により、連邦議会選では移民・難民政策が争点となっている。世論調査では、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が2位につけている。

同党の首相候補のアリス・ヴァイデル共同党首は、移民の集団強制送還への支持を公言している。

一方、中道左派・社会民主党のショルツ首相は、重犯罪者のアフガニスタンへの強制送還を増やすつもりだとしている。カブールへの強制送還は昨年8月に始まっている。