ウクライナで汚職の大規模捜査、ゼレンスキー氏の盟友ら巻き込み 2閣僚が辞任

画像提供, Reuters
ウクライナでエネルギー部門の汚職に関する大規模な捜査が進んでいる。12日には、エネルギー相と法務相が辞任した。
このスキャンダルでは、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の側近らも関与が取り沙汰されている。
大統領はこの日、スウィトラナ・フリンチュク・エネルギー相とヘルマン・ハルシュチェンコ法務相(前エネルギー相)の解任を要求。これを受けて両閣僚は辞任した。
反汚職当局は10日、原子力発電公社「エネルホアトム」などのエネルギー部門で約1億ドル(約155億円)規模の横領計画を指揮したとして、数人を摘発していた。
ハルシチェンコ氏やその他の主要閣僚、政府関係者らをめぐっては、ロシアの攻撃からエネルギーインフラを防御する建設工事で、業者から支払いを受けた疑いがもたれている。
関与が疑われている人物にはほかにも、オレクシー・チェルニショフ元副首相や、ゼレンスキー氏がかつて立ち上げたスタジオ「第95街区」の共同所有者で実業家のティムール・ミンディッチ氏らがいる。同氏は国外に逃がれたとされる。
ハルシチェンコ氏は、嫌疑に対して自身で弁護すると述べた。フリンチュク氏は、「私の職務範囲内で法律違反はなかった」とソーシャルメディアに投稿した。
国家汚職対策局(NABU)と特別汚職対策検察庁(SAP)は、この捜査に1年3カ月をかけ、録音は1000時間に及んだと発表した。
NABUは、汚職に関わった人物らがそろって、エネルホアトムの工事を請け負った業者から、契約金額の10~15%相当のキックバックを受け取っていたとしている。
はびこり続ける汚職
反汚職当局はまた、この計画で巨額の資金が洗浄されていたとし、現金の詰まったバッグの写真を公表した。資金はその後、ロシアなどウクライナ国外に送られたという。
検察当局は資金洗浄(マネーロンダリング)について、ウクライナの元議員で現ロシア上院議員のアンドレイ・デルカッチ氏の家族とつながりのあるキーウの事務所を通じて行われたとしている。
NABUは連日、捜査や関係者の会話の録音に関して新たな断片情報を発表している。11日には、さらに多くの情報を発表すると約束した。
ウクライナでは、エネルギー施設に対するロシアの攻撃がエスカレートしている。原発に電力を供給する変電所も攻撃対象にされている。
NABUとSAPが設立されてから10年がたつが、ウクライナでは汚職がはびこり続けている。今回の摘発は、そうした状況を白日の下にさらしている。
今年7月には、NABUとSAPの独立を抑制する変更をめぐり、全国的な抗議デモが起きた。国民は、汚職と真剣に闘うことを条件に付与された欧州連合(EU)候補国という、切望してきた地位を失うことを恐れた。












