「ほんとに悔しくてしょうがないんです」
45年前に東京・田園調布の資産家を殺害したとして、殺人罪などで服役した折山敏夫さん(82歳)。「冤罪だ」と訴え続ける彼の第3次再審請求をめぐり、東京地裁は11月12日、弁護人と検察官を交えた三者協議を初めて開いた。
第1次再審請求を含めて、三者協議が開かれるのは初めて。折山さんの弁護団は「これまで何度も求めてきた三者協議がようやく開かれ、折山さんにとって歴史的な日だ」と語った。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)
●来年1月までに検察側が証拠開示を検討
判決などによると、折山さんは1980年7月、福岡市内のホテルで不動産業を営む佐藤松雄さん(当時56歳)を殺害したなどとして起訴された。折山さんは一貫して無実を主張したが、懲役20年の有罪判決が確定し、服役を終えて満期出所した。
2011年以降、2度の再審請求はいずれも棄却され、2021年12月に3回目となる再審請求を申し立てた。
弁護団はこの日の三者協議後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた。
弁護団によると、この日の協議では、来年1月の次回期日までに検察側が新たな証拠を開示するかどうかを検討することなどを確認したという。
●「被害者が生きていた痕跡がある」
弁護団によると、この事件では直接証拠がなく、折山さんを取り調べた検察官が法廷で「折山さんが自白した」と証言したことが有力な証拠とされるなど、不可解な点が数多く残されているという。
弁護人の海渡雄一弁護士は、被害者の診療報酬明細や診療録など、捜査機関が入手しているはずの重要証拠がことごとく開示されていないと指摘。「被害者が殺害されたとされる時点で生きていた痕跡がある。検察官の手元にもっと決定的な証拠があるのではないか」と述べた。
同じく弁護人の小竹広子弁護士は、折山さんが事件後に家族と生き別れ、20年の服役を経ても、なお無実を訴え続けていることに触れ「本当に彼が犯人なら、刑務所を出てまで再審請求する意味がない。絶対に無罪だと思います」と語った。
●82歳の折山さん「何でこんなことに…」
会見冒頭、折山さんは「まったく何でこんなことになったのか、自分自身でもわかっていません」と語り、有罪の根拠とされた証拠について記者の質問に答えるうち、次第に語気を強めた。
「すみません、興奮して。ほんとに悔しくてしょうがないんです」