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【津波浸水マップ】愛知・北名古屋市や清須市まで遡上 南海トラフ地震で新たな想定

2025年3月31日 11時13分 (9月10日 14時09分更新)

南海トラフ地震を巡り、新たな被害想定が発表されました。地形データの精度が高まり、津波による浸水想定も見直されました。中日新聞社は、新想定のデータを用いて、愛知県内で新たに浸水すると想定されたエリアと引き続き浸水が想定されるエリアの違いが分かるデジタル地図を作成。津波による浸水の深さが分かる地図も作りました。自宅や職場の周辺など、気になる場所をご確認ください。

 内閣府が31日に発表した南海トラフ地震の想定で、県内の最大死者数は1万9千人となり、前回2012年の発表時の2万3千人より4千人減った。一方、最大で40万1千棟の建物が全壊・焼失し、負傷者は14万6千人に上ると推計され、いずれも全国最多で前回より増えた。
 今回の被害想定では、各市町村の震度は大半が6強か7だった。豊田、豊明、弥富、幸田の4市町では、最大震度が前回の6強から7になった。
 県内の建物倒壊の被害は、最大死者数が1万4千人で全体の74%、負傷者数は14万2千人で97%を占める。耐震化や家具固定などの対策の必要性があらためて浮き彫りになった。
 火災による死者は最大2千人、負傷者数は2400人との推計で、前回を上回った。火災の防止に有効な感震ブレーカーは、23年度の防災意識調査では回答した県民の約18%が設置していると回答。21年度は約23%、19年度は約17%で、設置率はほぼ横ばいの状況とみられる。
 会見した大村秀章知事は「前回より震度7が増えた一方、死者数の最大値は減った。県のいろいろな対策が織り込まれたのだろう」と一定の評価をした。ただ、建物の全壊・焼失数などが増加しており「データを率直に受け止めて対策をしっかりやっていく」と話した。
 津波では、最大津波高が10メートルを超えたのは、田原市の22メートル、豊橋市の19メートル、南知多町の10メートル。1メートルの高さの津波が来るまでの最短時間はそれぞれ11、8、34分と予想される。津波による県内の最大死者数は2900人と算出され、前回想定6400人の半分以下だったが、早く高所へ避難する意識を持つことが大切だ。
 液状化の可能性についても尾張地方を中心に指摘され、液状化による最大の全壊・焼失棟数は1万7千棟だった。また、東海地方が大きく被災する場合、被災直後に県内の9割の300万軒が停電になり、1日後には約8割で断水となり、1週間後の避難者数が265万人以上になるというケースが公表された。
 県は24年度から、独自の南海トラフ地震の被害予測調査を開始している。今回の国のデータも参考にしつつ、より詳細な被害予測や対策を取りまとめ、26年6月ごろに公表する。
 今回想定の各項目の最大値はいずれも、公表された複数のケースを比較し、抽出した。津波の最短到達時間は、複数ケースの中の最短。
 (多園尚樹、芦原千晶)

南海トラフ地震 駿河湾から九州の日向灘沖にかけて海底に延びる溝状の地形(トラフ)に沿って発生する地震。おおむね100~150年間隔で起きている。マグニチュード(M)8~9級の巨大地震が30年以内に起こる確率は80%程度とされている。政府は対策推進地域に29都府県707市町村を指定している。指定では、3メートル以上の津波が予想され、海岸堤防が低い地域といった基準がある。


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