トム・クルーズ、キャリア初のオスカー受賞 アカデミー名誉賞で感動スピーチ「映画製作は私そのもの」

“最後の映画スター”とも称される俳優トム・クルーズ(63)が、アカデミー名誉賞を受賞し、キャリア初のオスカー像を手にした。現地時間16日に米カリフォルニア州のレイ・ドルビー・ボールルームで行われた第16回ガバナーズ賞の授賞式に出席したトムは、映画製作に関わる人々への敬意、映画が持つ力について感情的なスピーチを行った。
アカデミー名誉賞は、映画界において類まれなる功績を残し、その発展に並外れた貢献をした人に贈られる賞。トムはこれまで。俳優として3回(『7月4日に生まれて』(1989)の主演男優賞、『ザ・エージェント』(1996)の主演男優賞、『マグノリア』(1999)の助演男優賞)、プロデューサーとして1回(『トップガン マーヴェリック』の作品賞)アカデミー賞にノミネートされており、今回の受賞で、40年以上のキャリアで念願のオスカーを手にすることとなった。
1981年の『エンドレス・ラブ』でスクリーンデビューを飾ると、『トップガン』『ミッション:インポッシブル』シリーズなど数々のヒット作を生み出し、映画製作に情熱を捧げてきた。授賞式では、2026年10月に全米公開の新作(タイトル未定)でタッグを組む映画監督のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥがトムにオスカー像を手渡し、会場ではおよそ2分間のスタンディングオベーションで受賞を祝った。
トムは、映画界のレジェンドに敬意を表しながら「映画は私を世界中に連れていってくれるんです。それは私に違いを理解し、尊重することを教えてくれます。同時に、私たちがどれほど多くの点で似ているのか、その人間性を示してくれる。そして、どこから来た人であっても、映画館の中では一緒に笑い、一緒に感じ、一緒に希望を見い出す。それこそ、この芸術の力です。それこそ、私にとって大切な理由なのです。映画製作は、私の職業ではなく、私そのものなのです」と力強くスピーチ。
また、映画への飽くなき探究心は幼少期の体験から芽生えたと明かした。「真っ暗な劇場に座っていた子どもの私は、館内を横切る光の束を見つめ、それがスクリーンの上で爆発するように広がる光景を目撃したのを覚えています。突然、私が知っていた世界よりもはるかに大きな世界が目の前に現れた。文化も人生も風景も一気に広がり、何かが芽生えたのです。冒険への渇望、知識への渇望、人間性を理解したいという渇望、キャラクターを生み出し、物語を語り、世界を見たいという思い。それが私の目を開き、想像力を広げ、世界が人生の境界をはるかに超え、広がりうることを教えてくれました。その光の束は世界を開くという欲求を芽生えさせ、私はそれをずっと追い続けてきました」
今年のガバナーズ賞ではトムのほか、振付師・女優・プロデューサーのデビー・アレン、美術のウィン・トーマスに功労賞が贈られた。(編集部・倉本拓弥)


