幸せに働きつつ、成果も出せたなら、それが一番の理想。でも、そんなことって可能なの?
最近、何かと目にする「ウェルビーイング」という言葉。「心身、そして社会的にも良好な状態=ウェルビーイング」を実現すれば、生産性も向上すると言われており、実際に多くの企業がそのためのさまざまな取り組みを行なっています。
企業の取り組みを待つだけでなく、私たち「企業で働く側の立場」から、主体的にウェルビーイングを実現する方法はないのでしょうか?
今回は、そんなウェルビーイングとハイパフォーマンスのヒントを求めて、株式会社HRアドバンテージ代表取締役社長で、『なぜ私たちは、仕事が嫌いになるのか。 ハイパフォーマーの隠された真実』(日経BP 日本経済新聞出版)の著者である相原孝夫さんに、お話を伺いました。
前提は「一定の成果」を上げること
──1人の社員として働きながら、自分の力でウェルビーイングを目指すことはできますか。
「ウェルビーイングを目指すなら、職場で一定の成果を上げていることが前提」と私は考えます。仕事で思うように成果を出せていないなら、私生活を充実させようと思っても難しく、ウェルビーイングは高まりません。
たとえば近年、話題になっている言葉に「静かな退職」というワードがありますね。
これは「今の仕事内容を不本意に感じながら、我慢して必要最低限の業務だけを消極的に続ける」という働き方のことを指しています。
「静かな退職」はたしかに、無理をしない・負荷を避ける働き方にはなるかもしれませんが、そうやって安定した給料を得ていても、本来の意味でのウェルビーイングとは呼べません。というのも私たちは、人生の多くの時間を仕事に費やしているからです。
そこで私は、「ハイパフォーマーを目指す働き方」を提唱しています。
ここで言うハイパフォーマーとは、いわゆるハッスルカルチャー的に「ハードコアな働き方」をする人ではなく、余裕をもって仕事に取り組み、私生活とのバランスもとりながら、実績を上げている人のこと。
そのようなハイパフォーマーとなることが、そのままウェルビーイングを達成するカギになると、私は考えます。
💡仕事で成果を上げるから私生活も充実する、それがハイパフォーマー
「何かの分野で秀でよう」という姿勢が大事
──とはいえ、ハイパフォーマーと聞くと「もっとストイックに取り組んで結果を出さなければ……」というプレッシャーや、ハードルの高さを感じて少し抵抗があります。
ハイパフォーマーと言っても、必ずしも「社内の皆が認める、ずば抜けた成果」を目指す必要はありません。
求められる業務に対してアベレージ以上の結果は出しつつ、別の面でも会社から頼りにされ、一定の存在価値を持っている、そんな方向性が理想。なおかつ、やらされ感がなく、主体的に取り組めるような状態を目指しましょう。
部署内でトップにはなれないとしても、何かの分野で秀でようという姿勢は、自分の存在意義を認めるという意味で、ウェルビーイングにもつながります。
それに求められる成果も、決して「人事評価制度の中で評価される成果」だけではありません。
たとえば、「ベテランと若手社員が多くて中間層が少ない」上下の円滑なコミュニケーションに問題のある職場があるとします。もしあなたに、世代の違いを理解し、その間を取り持てる能力があるなら、重宝される存在となるでしょう。それも立派なハイパフォーマーです。
💡独自の存在価値や成果を提供できるのが、ハイパフォーマー
成果を生む活動に集中する
──ハイパフォーマーになれば、長時間労働とは無縁になりますか。
ハイパフォーマーたちは、どうすれば効率的に成果を上げられるかを意識しています。つまり、無駄なことに時間を使わず、成果を生む活動に集中しています。
「成果の8割は、そのために費やした行動全体の2割から生み出される」という有名なパレートの法則がありますが、その2割を見極めて注力するのです。
結果として、それほどがんばらなくても成果が上がるようになり、余裕も生まれてきます。
また、そもそも「長時間労働を前提とする働き方は、持続性がない」ことも理解しておくべきです。
💡ハイパフォーマーは、成果を「効率的に」上げることに集中する






















