共産区議の赤旗勧誘は「みかじめ料と同じ」 新宿区管理職ら「読まずに捨てる」と実態証言

新宿区役所=13日午前、東京・歌舞伎町(原川貴郎撮影)
新宿区役所=13日午前、東京・歌舞伎町(原川貴郎撮影)

東京都新宿区の多くの管理職が共産党区議から党機関紙「しんぶん赤旗」の購読の勧誘を受けて心理的圧力を感じていた問題で、同区は対応策の検討に入った。購読した管理職からは「メリットはない」「読まずに捨てている」などの声が上がり、意思に反してやむなく購読に至った実情が浮かびがった。(原川貴郎)

やむを得ず購読

新宿区が8月、管理職132人を対象に行ったハラスメントに関するアンケート(115人が回答)によると、85・2%が区議から政党機関紙の購読の勧誘を受けた経験があった。このうち64・3%が「心理的な圧力を感じた」と回答。勧誘を受けた管理職の50%が「やむを得ず購読した」と答えた。この政党機関紙について、区は10月の区議会答弁で「しんぶん赤旗」の名前のみを挙げた。

事情に詳しい関係者によると、共産区議は区役所庁舎内の各課の課長らの席まで執務時間中に直接、勧誘や集金に訪れる。購読すると毎朝、管理職の机の上に配達されているという。

区では職員以外が執務室に入ることは許可されておらず、庁舎内での政治活動や物品販売も庁舎管理規則上、認められていない。

課長が標的に

勧誘を受けたときの職位をアンケートで尋ねると課長級が84・7%、係長級が11・2%。課長級になると区議会で答弁に立つなど、議会対応が必要になるため、勧誘を断りづらいとみられている。

実際、取材では「購読しないと議会で厳しい質問を受けるといった話を先輩の管理職から聞いた」「購読をやめると何か不利益を被る可能性がある。断る勇気はない」という声が聞かれた。

区議会関係者によると、管理職らが共産区議に支払う購読料は「みかじめ料と同じ」ともいわれている。だが、管理職らは「購読のメリットは感じたことはないし、購読料もばかにならない」「全く読まずに捨てている。ランチョンマットぐらいにしか使えない」などと感想を話す。

港区は今春対応

議会では現状を変えようとする動きも始まった。

日本維新の会の古畑匡規区議らは、渡辺清人議長(自民党)や各会派の幹事長に文書で「議員が職員に対して政党機関紙の勧誘・購読・販売・集金等をすることをパワーハラスメントと定義し、明確に禁止すること」を求めた。

取材に対し渡辺議長は「心理的圧力を感じた職員も多く、庁舎内での勧誘はやめさせなければならないと考えている」と語った。共産区議団の川村範昭幹事長は「ハラスメントはあってはならないことだ。共通の理解を持って議論していきたい」と話した。

区役所庁舎内での政党機関紙の区議による購読勧誘を巡っては、港区も昨年管理職100人にアンケートを実施。回答した67人のうち「勧誘を受けたことがある」が91%に達し、このうち79%が心理的圧力を感じたと答えた。港区は今年3月、庁舎内および勤務時間中に勧誘や集金に応じないよう職員に通達し、議会側にも通達の内容を伝えた。

新宿区は、港区など他の自治体のケースも参考に対応を検討するとみられる。

共産党区議が新宿区管理職に赤旗を「押し売り」 64%が「心理的な圧力」

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