特急「くろしお」増便で利用増えるか?平日1往復を追加、JR西が実証実験…紀勢線新宮―白浜の悪化する赤字改善へ
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JR西日本は、特急「くろしお」を増便する実証実験を始めた。月曜~木曜、1往復ずつ増やして6往復とし、利用客がどの程度増えるかを確かめる。紀勢線の新宮―白浜間は赤字が続いており、JR西は路線のあり方を模索している。(丹下巨樹)

実証実験では、午前9時28分に新大阪駅を出発し午後1時53分に新宮駅に到着する便と、午後3時4分に新宮駅を出て午後7時21分に新大阪駅に着く便を増やす。来年3月31日まで行う。
増便が始まった今月4日には和歌山駅(和歌山市)で記念セレモニーがあり、テープカットなどが行われた。
和歌山支社の富沢五月支社長は「観光、ビジネスにも大変使いやすい時間。この機会を通じ、多くの人に利用してほしい」とあいさつ。和歌山県の宮崎泉知事は「観光客も増えている。実験を成功させ、くろしおが永続的に増便できるよう応援したい」と語った。
新宮―白浜間の赤字は2022~24年度平均で31億2000万円となった。24年度の輸送密度(1キロあたりの1日の平均利用者数)が2000人未満だった19路線32線区を対象にJR西が取りまとめ、発表した。このうち新宮―白浜間の赤字は2番目に多かった。21~23年度平均の前回より1億9000万円悪化している。
24年度の輸送密度は、インバウンド(訪日外国人客)需要が高まった影響で、23年度より25人増の960人。収入は前回より8000万円増の5億7000万円だったが、物価や人件費の高騰で営業費用が2億7000万円増の36億9000万円となった。
10月29日の記者会見で、和歌山支社の礒川健太郎副支社長は実証実験の結果を分析するとし、「目標に及ばない場合は、改めて将来の交通体系について地域と議論する必要があると思う」と述べた。
一方、礒川氏は、存廃を話し合う協議会の設置やバスへの転換を否定し、「鉄道で運営していくのであれば、(自治体が線路などを所有し、JR西が運行を担う)上下分離は一つの選択肢になりうる」との見解を示した。




























