キラキラネーム終了なのに名前人気上位に「読めない」「書けない」漢字
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ベネッセコーポレーション(岡山市)が展開する妊娠・出産・育児ブランド「たまひよ」は、2025年に生まれた赤ちゃんの名前ランキングを発表しました。改正戸籍法が今年5月に施行されて、戸籍の氏名にふりがなを記載するようになり、奇抜な読み方や当て字などのいわゆる「キラキラネーム」が受理されなくなりました。赤ちゃんの名付けにどのような影響が見られたのでしょうか。
「たまひよ」は2005年から赤ちゃんの名付けに関する調査を行い、「名前ランキング」を発表。25年は、1月1日から9月15日に生まれた新生児16万6011人(男子8万3839人、女子8万2172人)の名前を調査・集計しました(カッコ内は主な読み方)。
女の子の上位は「不動の人気」

女の子は「翠(すい)」が初めて1位になりました。20年には95位、22年には16位、23年と24年には3位に入るなど、着実に順位を上げ、今年はついにナンバーワンの座に。
「翠」の字から連想される「ヒスイ」が、美しい青緑色の宝石をイメージさせ、また、鳥のカワセミの異称でもあることから、「自分らしく、飛躍した人生を歩んでほしい」という願いが込められているそうです。
16年以降、1位もしくは2位で上位を守っている「陽葵(ひまり)」が今年も2位を維持しました。
「太陽のように元気で、ひまわりのようにまっすぐ育ってほしい」という思いが含められ、明るく朗らかなイメージで人気が定着しているものの、「葵」が「向日葵(ひまわり)」で使われる以外は、「あおい」「き」「ぎ」という読み方が一般的なため、「読み方が分からない」「キラキラネームではないか」との声も少なくありません。
3位には、昨年1位だった「凛(りん)」が入りました。こちらも2005年の調査開始以降、常に8位以内と、長く人気を保っている名前です。「凛とした姿」などと言われるように、身も心も引き締まったイメージがあり、「てきぱきとした明るい人に成長してほしい」という思いがあります。
このほか、女の子の名前では、8位の「紬(つむぎ)」、10位の「澪(みお)」、39位の「結(ゆい)」、45位の「桜(さくら)」など、日本の情緒や風物詩を感じさせる名前が並びました。
男の子に人気急浮上の漢字
男の子は「碧(あお)」が、昨年に続いて1位になりました。青緑の色や青く美しい石を表す漢字には、「曇りのない澄んだ心を持った人に育ってほしい」など、まっすぐで純粋な成長を願う親の気持ちがうかがえます。
2位には、昨年5位だった「湊(みなと)」が浮上。12年から常にトップ10に入っている人気の名前です。「船着き場」の意味のほか、「集まる」という意味もあることから、「社交的で多くの人を引きつける」「広い海原へ旅立ち、幅広く活躍する」といった魅力的な人になってほしいと期待する気持ちがあるようです。
3位には、「陽翔(はると)」が昨年4位からランクアップしました。「お日様のように明るく元気に、のびのびと成長してほしい」との願いが感じられます。
このほか、男の子の名前では、昨年100位圏外だった「善(ぜん)」が52位に、21位だった「朔(さく)」が13位にそれぞれ急浮上しました。
男女いずれの名前でも、人気上位にこれまでと大きな変化は見られず、SNSでは「やっぱり読めない」といった声に加え、「碧」「翠」「凛」「翔」「朔」など常用漢字に含まれない人名用漢字については、「名付けた親も書けない」「習字で名前を書くとき困りそう」と心配する投稿もありました。
「名前が受理されなかった」ケースは?
名付けを巡っては、改正戸籍法の施行で、戸籍の氏名にふりがなの記載を義務化。読み方として認められる基準を「氏名に用いる文字の読み方として一般に認められているもの」と規定しています。
法務省が判断基準を公表しており、〈1〉漢字の意味や読み方との関連性がない〈2〉子の利益に反し社会通念上相当ではない――といった考え方を示しています。例えば、「太郎」を「ジョージ」、「高」を「ひくし」、「健」を「けんさま」とするのは認められないとしています。
その一方で、許容される読み方として、漢字の読みの一部が入る「心愛(ここあ)」や、実質的に読まない「置き字」を含む「彩夢(ゆめ)」などを例示しています。また、「飛鳥(あすか)」のように複数文字で一つの読みの「熟字訓」も認めています。
「たまひよ」が10月に行ったアンケート(回答者:1704人)では、「名付けをする際に、改正戸籍法を意識した」と回答した人は45.3%に上り、「行政窓口で説明を求められた」という人は4.3%にとどまりました。読み方の確認や説明を求められたケースはありましたが、受理されなかったという回答はありませんでした。

(読売新聞メディア局 鈴木幸大)
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