9歳少年射殺、「投石した」というイスラエル軍の説明を目撃者ら否定…ヨルダン川西岸で子供殺害200人超

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 パレスチナ自治区ガザで戦闘が始まった2023年10月以降、ヨルダン川西岸でイスラエル軍や入植者に殺害された子供は200人を超える。今月17日には軍が占領する西岸南部の村で9歳の少年がイスラエル軍兵士に撃たれて死亡した。西岸の住民からは「こんな不条理が続いていいのか」と憤りの声が上がっている。(ヨルダン川西岸南部リヒヤ村 福島利之、写真も)

ヨルダン川西岸南部リヒヤ村で、息子のムハンマド君の死を嘆く母親のアーリヤさん(右から2人目、19日)
ヨルダン川西岸南部リヒヤ村で、息子のムハンマド君の死を嘆く母親のアーリヤさん(右から2人目、19日)

 西岸南部ヘブロン南郊のリヒヤ村で17日夕、学校の校庭で子供たちがサッカーをしていると、イスラエル軍の車両2台が村に入ってきた。子供たちは丘の上に走って逃げて様子を見ていたが、兵士が丘に向けて銃を発砲。1発がムハンマド・ハラク君(9)の腰に命中した。

 大量出血するムハンマド君を伯父が車で病院に運ぼうとすると、兵士は車を40分ほど足止めした。母親アーリヤさん(32)が病院に到着した30分後、ムハンマド君の死亡が確認された。医師から「病院に着くのが遅すぎた」と告げられたアーリヤさんは「悲しくて胸が痛い」と悲嘆に暮れた。ムハンマド君は医師になるのが夢だった。

イスラエル軍の銃撃を受け、殺害されたムハンマド・ハラク君
イスラエル軍の銃撃を受け、殺害されたムハンマド・ハラク君

 軍は「投石した容疑者に発砲した」と説明するが、ムハンマド君と一緒にいた少年(13)は「僕たちは腕組みをして兵士を見ていただけで誰も石を投げていない」と話し、他の子供や目撃者も投石を否定した。そもそも、丘の上の子供たちと兵士との距離は約200メートル離れ、石を投げて届く距離ではなかった。

 国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、西岸では23年10月7日から今年10月2日までに、兵士や入植者に999人のパレスチナ人が殺害された。このうち212人が18歳以下の子供だ。ムハンマド君のいとこ、商店主マフムードさん(35)は、「ガザでは一応停戦しても、西岸では不正義な行為が今も続いている」と憤った。

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