高圧経済論をめぐる主流派とポスト・ケインズ派の対立――長期停滞論からミンスキー的視角へ――｜横歩

高圧経済論をめぐる主流派とポスト・ケインズ派の対立――長期停滞論からミンスキー的視角へ――｜横歩

高圧経済論をめぐる主流派とポスト・ケインズ派の対立――長期停滞論からミンスキー的視角へ―― はじめにリ...概要を表示 高圧経済論をめぐる主流派とポスト・ケインズ派の対立――長期停滞論からミンスキー的視角へ―― はじめにリーマン・ショック以降、先進諸国では長期にわたる低成長・低インフレ・低金利の状態が常態化した。サマーズが提起した「長期停滞（Secular Stagnation）」仮説は、この現象を「自然利子率の低下」として理論化し、マクロ経済政策の再考を促した。またクルーグマンは、日本の「失われた二十年」を分析する中で、流動性の罠およびバランスシート不況の視点を取り入れ、需要不足の長期化に対する積極的財政政策の必要性を主張した。こうした潮流から生まれたのが「高圧経済（High-pressure Economy）」という政策概念である。 しかしながら、この主流派的枠組みには、ポスト・ケインズ派から根源的な批判が加えられてきた。彼らは「自然利子率」という概念の虚構性、金融セクターの内生的膨張と不安定性、所得分