wikiと表計算ソフトのように大きく異なる2つの技術を融合させるような作業の適任者といえば、やはり、VisiCalcの生みの親Dan Bricklinだろう。
Bricklinは1979年に公開された、パーソナルコンピュータ用の初めての表計算ソフトVisiCalcを開発した人物。その同氏が今、wikiCalcのベータ版の開発を終えようとしている。これは、ブラウザベースのオープンソースコラボレーションツールで、機能はスプレッドシートに似ているが、ウェブ経由で誰がどこからでもデータを操作できるwikiの技術を活用している。
現在公開されているのwikiCalcはアルファ版で、ベータ版は2月末までに登場する予定だ。wikiCalcは、AJAXを使って開発された汎用ツールで、Windows、Mac OS X、Unix、Linuxに対応し、ユーザー端末上でもサーバ上でも動作する。wikiCalcのユーザーは、VisiCalcはもちろん、ExcelやLotus 1-2-3などで慣れ親しんだ表形式を用いて、データの入力、保存、修正が行える。
コラボレーションソフトウェアメーカーSocialTextの最高経営責任者(CEO)Ross Mayfieldは、「ユーザーが作業で使い慣れたスプレッドシートのメタファーを使っていること、さらには、この技術を知り尽くした最高の人物が開発していることから、wikiCalcには大きな期待がかかる」と語っている。
Mayfieldは、かねてからIT業界で広がりつつあった問題の答えをwikicalcに見出している。同氏によると、従来の表計算はシングルユーザー用アプリケーションだったが、このところは複数のユーザーが素早く容易にデータを編集できる機能が強く求められていたという。
Excelのライバルになるか
もちろん、wikiCalcが、ウェブ上でスプレッドシートを使う唯一の方法であるわけではない。
Num Sumでも、ユーザーは、作成したウェブベースのスプレッドシートを共有することが可能だ(ただし、こちらでは、wikiCalcのようなオープンソースモデルは採用されていない)。また、MicrosoftのExcelも、それ単体では1枚のスプレッドシートを複数のユーザーで作業する機能を有していないが、同社が2005年に買収したGrooveのコラボレーションツールを使えばそれが可能になる。2006年末までに出荷予定のOffice 2007のハイエンド版パッケージEnterprise Editionには、GrooveとExcelの両方が同梱される。また、Windows Sharepoint Servicesにはwikiのようなスプレッドシート編集機能がある。
さらに、ベータ版が公開されているJotSpot Trackerという製品でも、wikiCalc同様、ほかのアプリケーションと統合可能なスプレッドシートなどのカスタムトラッキングアプリケーションの作成、公開、共有が可能になっている。
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