20年で完結「ヴィンランド・サガ」作者が現代に問う「真の戦士」
11世紀に北欧から北米への移住を試みた冒険者トルフィン・トルザルソンをモデルとする漫画「ヴィンランド・サガ」(月刊アフタヌーン連載)が20年の連載を経て完結。22日に最終巻の第29巻が発売されました。戦いや争いを描く漫画があふれる中、暴力を否定し戦争のない国を作ろうとする人間を主人公としたのはなぜか。現実世界との接点は何か。作者の幸村誠さん(49)に語ってもらいました。
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「『正しい暴力』の存在は認めてはいけない」
2005年に「週刊少年マガジン」で連載が始まった時のトルフィンは6歳でしたが、終了時には27歳。2人の子の父親となりました。
幼い頃に父を殺されたトルフィンは復讐(ふくしゅう)の鬼と化しバイキング傭兵(ようへい)団の一員として数え切れないほど多くの人々の命を奪う。復讐相手の死で生きる目的を失い奴隷となるが、土地を開墾し作物を育てる喜びに初めて触れる。そして己の罪深さ、暴力で希望を奪われ死にゆく人の悲しみを知り、新大陸「ヴィンランド」に戦争のない国を作ると決意する。
彼は物語の終盤、親友にこう語ります。「仕方なかろうが 苦しもうが 戦争を未然に防ぐためだろうが 『正しい暴力』というものの存在だけは認めてはいけない」と。
トルフィンが非暴力を貫くに至る長くけわしい道のりの中に、少しでも作者の都合やきれいごとが入ってはいけない。そうなったらこの物語を描く意味はすべて失われてしまうからです。登場人物が作者の僕に対して「自分はこんなことを言わない、しない」と反抗し、動かなくなってしまうこともたびたびでした。
トルフィンの変化を自然な成長として描き、物語が読者の暴力に対する考えを変える力を持つには、やはりこれだけの時間が必要だったと思います。
原点は「北斗の拳」
この作品の原点の一つが、小…












































