米軍が基地外で民間人誤拘束、準機関紙報道 日本の警察権侵害の恐れ

金子和史
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 米軍の準機関紙「星条旗新聞」電子版は26日、在日米軍沖縄県沖縄市の基地外でパトロール中、民間人を誤って一時拘束していたと報じた。日本側の警察権を侵害したおそれがある。同紙によると、拘束した際の動画がSNSに投稿されており、米軍は調査のため沖縄でのパトロールを一時中止したという。

 投稿された動画では、米軍嘉手納基地近くの繁華街「ゲート通り」とみられる場所で、憲兵隊が黒人男性を路上に押さえつけ、手錠をかける様子が映っている。

 投稿された動画によると、拘束された男性は元海兵隊員で軍を退役しており、憲兵隊に「私に触れる権利はない」と訴えている。

 日米地位協定は、米軍の裁判権の対象を米軍人、軍属とその家族とし、基地や区域外での警察権行使については「軍隊の構成員の間の規律及び秩序の維持のため必要な範囲に限る」などと定めている。このため、民間人は米国人であっても対象外となる。

 星条旗新聞によると、米軍は拘束したのが民間人だったことを認めているという。米空軍報道官の「調査が終わるまで、単独パトロールを一時中止しパトロール隊員の訓練を行っている」とのコメントも報じた。

 県内では昨年以降、米兵による性暴力事件の発生が相次いで明らかになり、米軍は再発防止策として今年4月から、沖縄市や那覇市の繁華街で、米軍単独でのパトロールを始めていた。午前1~5時のバーなどへの立ち入りを禁じるといった米軍の規則に反した米兵がいれば帰宅を促し、従わない場合は身柄の拘束も行ってきた。

 ただ、基地の外でのパトロールは日本側の警察権と競合する可能性があり、玉城デニー知事も10月末の記者会見で、「外国の観光客の方々と米軍人をどう見分けるのか。トラブルにならないよう慎重に行っていただきたい」と述べていた。

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この記事を書いた人
金子和史
那覇総局
専門・関心分野
沖縄、平和、事件、司法