

Metaは、AIモデル「SAM(Segment Anything Model)」の最新版である「SAM 3」と「SAM 3D」を公開した。これらは視覚知能に特化しており、Metaの各プラットフォームでコンテンツを編集する際の体験をさらに向上させる役割を担う。
提供:Meta/Screenshot by CNET
これらはチャットボットを動かす大規模言語モデル(LLM)ではなく、Metaの「Llama」ファミリーの一部でもない。ただし開発にはLlamaが使われている。SAMは物体の検出を得意とするAIモデル群で、中でもSAM 3Dは人体など特定の対象をより高精度に扱える。この種の視覚知能は、AIモデルが物理世界をよりよく理解できるようにするためのアプローチの1つだ。
MetaはSAM 3を、画像や動画とそれに対応するテキスト説明を組み合わせた膨大なデータセットで学習させた。そのため写真の中の1頭のゾウをクリックすると、SAM 3が画像を解析して、写っているすべてのゾウをハイライト表示できる。またテキストで「赤い帽子」や「座っているすべての人」のように指示して、赤い帽子をかぶっている人や座っている人だけを強調表示させることもできる。このような細かな指定に対応できる点が、新しいモデルの強みだ。
新しいAIモデルが画像の中の特定の物体(この場合は人物)を識別する例これらは画像や動画を生成するためのモデルではないので、開発者でなければ実際に触れる機会はあまりないだろう(興味があれば、最新モデルへのアクセスを提供する「Segment Anything Playground」で両モデルを確認できる)。とはいえSAM 3のおかげで、Metaの各プラットフォームにあるコンテンツ編集ツールは近いうちに目に見えて使いやすくなるはずだ。
同社は新しいモデルを、Instagramの動画編集アプリ「Edits」やAI動画アプリ「Vibes」に組み込み、より精密な編集機能を実現する。また、複数のオブジェクトを選択して、一括で編集を適用できるようにする。さらにFacebook Marketplaceの「View in Room」機能では、SAM 3を使って、家具など販売されている商品が自宅の部屋に置かれたときどのように見えるかを表示する。
こうしたモデルの実用例の1つが、野生生物保全の研究だ。Metaは野生生物のモニタリングを行うConservation X LabsとOsa Conservationの2社と提携し、1万台以上のカメラで撮影された、100種を超える生物を捉えた「未加工の研究用動画素材」のデータベースを構築したという。同社の発表によれば、SAM 3のモデルはこれらの動画を解析し、映っている動物の特定精度を高めるのに役立った。
これらのモデルは、MetaのSuperintelligence Labsによって開発されたものだ。MetaはAI分野での野心から、今夏の初めごろに他社から優秀なAIリーダーや開発者を引き抜くため、数十億ドル規模の投資を行ってきた。しかしAIチームは大きな課題にも直面しており、10月下旬にはAI部門の従業員600人を解雇する事態となった。Financial Timesの最近の報道によると、Metaの主任AI科学者でありAI分野のパイオニアでもあるYann LeCun氏は、独自の会社を立ち上げるためにMetaを離れる計画だという。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。
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