本記事は「ガバメントクラウド Advent Calendar 2024」4日目の記事です。

政府共通プラットフォームとは?
ガバメントクラウドのことはよくご存知かと思いますが、実はガバメントクラウドができる前にも政府のクラウドプラットフォームが存在していました。
それが『政府共通プラットフォーム(第一期 / 第二期)』です。
本記事では政府共通プラットフォームについて簡単にご紹介したいと思います。
タイトルに「ガバメントクラウドのお兄さん」と記載しましたが、ガバメントクラウドはデジタル庁、政府共通プラットフォームは総務省の管轄でしたのでお兄さんといっても腹違いの兄という関係になるでしょうか。
第一期政府共通プラットフォーム(第一期PF)
第一期PFは2009年に総務省IT戦略本部「デジタル新時代に向けた新たな戦略 ~ 三か年緊急プラン ~」に『霞が関クラウド(仮称)』という言葉で出てきています。
効率的かつ柔軟でセキュアなシステム構築、開発・運用コストの削減、及び業務の共通化を図るため、将来における地方公共団体のクラウドとの連携等も視野に入れつつ、「霞が関クラウド(仮称)」を構築し、全府省横断的に業務及びシステムの最適化を推進する。
そこから検討&構築が始まり第一期PFは2013年に運用が開始されます。 クラウドと言っても、いわゆるプライベートクラウドのような形式でハウジングサービスを活用したものと言われていますので、ガバメントクラウドのようなパブリッククラウドとは異なるプラットフォームと言えるでしょう。 後継の第二期政府共通プラットフォームの構想を受け廃止が決まり2023年5月に運用終了となっています。(本当に終了したのかな...?)
コスト面やニーズ把握といった問題が会計検査院から報告されており、実情は難しいものだったことが伺えます。
費用削減効果の問題
政府情報システムに関する会計検査の結果について(令和3年5月 会計検査院)
第一期政府共通PFについては、整備を行ったセキュアゾーンや仮想PC機能について本来の事業効果を発現しておらず、経費の増大を招くなどしていた。また、政府情報システムの統合・集約化によるシステム運用コストの低減が図られているとは判断できない状況となっていたり、政府全体での投資対効果及び経費削減効果の検証等が十分に行われていなかったりしていた
第一期政府共通PFの運用状況の分析や見直しなどの実績を十分に踏まえて第二期政府共通PFの整備及び運用を行うことなどにより、引き続き政府情報システムの効率化及びコスト削減を推進すること
セキュアゾーンの問題
政府共通PFにおけるセキュアゾーンに関する報告(平成30年 会計検査院)
セキュアゾーンは、多額の国費を投じて整備されたものの、29年4月の運用開始以降、前記の目的のために利用されないまま、30年度末に廃止されていた。
セキュアゾーンの整備を選択する意思決定過程において、需要の把握、利用規模や費用対効果の検討は十分でなかったと認められる。
第二期政府共通プラットフォーム(第二期PF)
2018年 総務省は「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」にて『クラウド・バイ・デフォルト原則』を掲げました。 この基本方針を基に第二期政府共通プラットフォーム(第二期PF)を構築し2020年に運用を開始しました。
第二期PFはAWSにて構築されており(AWSの発表)パブリッククラウドを活用したプラットフォームです。
間接契約・従量課金などの特徴があげられます。検討中の報告書から当時の検討状況が伺えます。 第二期政府共通プラットフォームにおける クラウドサービス調達とその契約に係る報告書 (2020.8.5 総務省)
ただ、2021年「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」で第二期PFからガバメントクラウドへの移行が示され第二期PFは1年足らずで新規受け入れを終了しています。
令和4年度(2022 年度)以降の新たなクラウドサービスの利用の検討に当たっては、原則として政府情報システムについて共通的な基盤・機能を提供する複数のクラウドサービス(IaaS、PaaS、SaaS)の利用環境であるガバメントクラウド(令和3年度(2021 年度)中に運用開始)の活用を検討する。
なぜ1年足らずで?という理由は明確に示されていませんが、クラウドベンダー(CSP)のロックイン、コストメリットを出すため直接契約としたと言われています。
有料記事ですが以下に詳しく掲載されています。 初代の政府共通クラウド「第2期PF」は廃止へ、2代目「ガバクラ」へ大統合する理由 | 日経クロステック(xTECH)
まとめ
簡単でしたがガバメントクラウドのお兄さんにあたる政府共通プラットフォーム紹介しました。 問題や課題が所々記載されており、今後ガバメントクラウドの活用にも教訓として活かしていきたいですね。
それではまた。
※参考にさせていただいたBlog記事(こちらのほうが詳しいです)