離陸中の貨物機からエンジンが脱落し墜落、少なくとも12人死亡 米ケンタッキー州

多くの建物が並ぶ地域で炎と濃い煙が上がっている

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画像説明, 貨物機の墜落現場では炎と黒煙が立ち上った(4日、米ルイヴィル)

米ケンタッキー州ルイヴィルの空港で4日夕(日本時間5日朝)、米貨物輸送大手UPSの貨物機が離陸の際に墜落し、少なくとも12人が死亡した。同州のアンディ・ベシア知事が発表した。

当局によると、事故は午後5時15分(日本時間5日午前7時15分)ごろ、ルイヴィル・モハメド・アリ国際空港で起きた。国家運輸安全委員会(NTSB)は、離陸中に左エンジンが炎上して主翼から落下したとみられるとした。地上では大規模な火災となり、大きな黒煙が上がった。

ベシア知事は、死亡が確認された人には墜落機の乗員3人が含まれているとみられるとし、子どもも少なくとも1人いる可能性が高いとした。また、死者数は増える見通しだとした。

負傷者は十数人を超えており、やけど、破片によるけが、煙を吸ったことによる不調などが確認されているという。当局は、事故に遭った人は「非常に重い」けがを負っているとした。

行方不明者がいるため、捜索活動が続けられている。

当局は5日、犠牲者の数は不明だとした。また、火災で破壊された機体の残骸が広がっているため、捜索活動が困難になるとの見方を示した。

動画説明, 米ルイヴィルの空港で発生した事故とその後の周囲の様子(※衝撃的な映像が含まれます)

NTSBのトッド・インマン氏は5日、監視カメラの映像から、事故機の左エンジンが「離陸滑走中に翼から外れた」のがわかると述べた。この映像はまだ公開されていない。

同氏によると、事故機は滑走路から浮き上がり、空港のフェンスを飛び越えた後、空港周辺のいくつかの会社の建物に衝突したという。

その中の一つの自動車関連会社では、従業員2人が4日夜の時点で行方不明となっている。事故発生時に、この会社の敷地内に客が何人いたかはわかっていない。

ベシア知事は、少なくとも16世帯から、家族が行方不明だとの連絡があったと話した。

UPSは声明で、事故機には乗員3人が乗っていたとし、「負傷者や死者は確認していない」とした。

当局によると、事故機の目的地は約6920キロメートル離れたハワイで、14万4000リットルもの燃料を積んでいたことから、大炎上につながったという。

木々や建物、道路がある地域で、炎と大きな黒煙が上がっている

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画像説明, 墜落現場では黒煙が立ち上った

機内にどのような貨物があったかは明らかにされていない。当局は、事故現場周辺を汚染する危険性の高いものは積まれていなかったとしている。

事故による爆発では、空港近くの石油リサイクル会社も巻き込まれた。さらなる爆発と空気の汚染が懸念されたため、空港から5マイル(約8キロ)の範囲に避難命令が出されたが、後に1マイルに縮小された。

ルイヴィル消防署のブライアン・オニール署長は、流出した燃料の量が多く、事故現場は「非常に危険な状況」だったと述べた。

航空機が空港に駐機している

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画像説明, UPSの施設「ワールドポート」に駐機中のMD-11型機(2022年、米ルイヴィル。資料写真)

事故機はMD11型機で、計3基のエンジンを備えていた。34年前にタイ航空で旅客機として就航し、2006年にUPSに所有が移った。

MD11型機は米マクドネル・ダグラスが製造した。同社は1997年に米ボーイングと合併している。

ボーイングは声明で、「顧客をサポートする用意がある」と表明。「影響を受けたすべての人の安全と幸福を重要視している」とした。

米貨物輸送大手のフェデックスとUPSは2023年、保有機材の近代化の一環として、MD-11型機の使用を10年かけて終わらせると発表していた。

UPSはルイヴィルに「ワールドポート」を置いている。同社の世界的な拠点で、世界最大の荷物取扱施設となっている。