エプスタイン元被告の権力網の内幕、新たなメールで明らかに

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エプスタイン元被告を中心とする人脈のネットワークがメールの分析から明らかになった/Getty Images; Medium; US House Oversight Committee

エプスタイン元被告を中心とする人脈のネットワークがメールの分析から明らかになった/Getty Images; Medium; US House Oversight Committee

(CNN) 性犯罪で起訴され勾留中に死亡した富豪ジェフリー・エプスタイン元被告の文通相手は産業界の大物やベストセラー作家、世界的に有名な科学者や銀行家、一流ジャーナリスト、そして政界の実力者たちだ。

メッセージに次ぐメッセージの中で、そうした人々はしばしば同じ人物に向けて助言や人脈を求める。冗談を口にし、ドナルド・トランプ米大統領に関するゴシップを交換する。

その人物、ジェフリー・エプスタイン元被告は、2008年に未成年者の売春斡旋(あっせん)で有罪判決を受け、既に性犯罪者として登録されていた。しかし、元被告の文通相手たちはそれを気にも留めていなかったようで、中には自身の性的スキャンダルを回避するための助言を元被告に求める人物もいた。

先週、連邦議会下院の監視委員会がエプスタイン元被告の遺産管理団体から入手した2万3000ページを超える記録を公開したことで、これらのメッセージは驚くべき形で暴露された。エプスタイン元被告は19年、連邦レベルの性的人身売買罪で起訴され、裁判を待つ間、マンハッタンの拘置所で死亡した。

メッセージはその後、エプスタイン元被告とトランプ氏の関係にまつわる新たな事実を明らかにするべく厳しく精査されてきた。実際そこでは、トランプ氏が政治的権力を握る中で、エプスタイン元被告が両者の一時の友情について語るのを楽しんでいたことが示されている。大統領の正気の度合いに関するコメントや閣僚に誰が就任すべきかまで、元被告はあらゆることに対する意見を述べていた。

しかしこれらの数千通のメールは、エプスタイン元被告が米国社会において果たした、他に類を見ない腐敗行為のもう一つの重要な側面も明らかにしている。そこから元被告がどのようにして権力と影響力の網の中心に自らを位置づけたかが浮かび上がる。

CNNが約2200件のメールを分析したところ、少なくとも740件がエプスタイン元被告と学界、政府、メディア、そして財界の著名人との間で交わされたものであることがわかった。大量のテキストメッセージを含むエプスタイン元被告と彼らとのやり取りは、09年から19年7月の逮捕前日までの10年間にわたっていた。

これらのメールが赤裸々に記すところによれば、米国の著名人たちは自分たちが個人的な会話を交わす相手が性犯罪者だということを認識していた。それでも依然として彼を信頼し、アクセスや助言、友人関係を求めていたとみられる。

こうした著名人には、ハーバード大学元学長で米財務長官も務めたラリー・サマーズ氏、理論物理学者で宇宙学者のローレンス・クラウス氏、哲学者で言語学者のノーム・チョムスキー氏、アラブ首長国連邦(UAE)の実業家スルタン・ビン・スレイヤム氏、イスラエルのバラク元首相、英国のアンドルー元王子、英国のピーター・マンデルソン前駐米大使、08年のエプスタイン元被告にまつわる物議を醸した司法取引をまとめた弁護団の一員だったケン・スター氏(22年に死去)、トランプ氏の元顧問のスティーブ・バノン氏、オバマ政権の元ホワイトハウス首席顧問弁護士のキャスリン・ルームラー氏、作家のディーパック・チョプラ氏、映画監督ウディ・アレン氏の妻のスンイー・プレビン氏、コラムニストで作家のマイケル・ウォルフ氏、ジャーナリストのランドン・トーマス・ジュニア氏、仏銀行家アリアン・ド・ロスチャイルド氏、 英銀バークレイズ元トップのジェス・ステーリー氏、実業家のトム・プリツカー氏、社交界の名士で百貨店相続人のジョナサン・ファーカス氏、シリコンバレーの起業家のピーター・ティール氏らが名を連ねる。

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