文化財の接着剤で原料「偽装」、「ウサギ膠」なのにウシやブタ検出…業者「信じがたい」
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動物の皮や骨から作られる

膠は原料の種類によって接着力や固まり具合、色合いなどが異なるため、文化財の素材や破損状況に応じて使い分け、数十年後の次の修復に備えて記録を残している。
同美術館は、膠の主成分であるコラーゲンのアミノ酸配列から原料の動物を特定する技術を民間企業と開発。国内の画材店で売られている膠を中心に、39製品を任意で選んで分析した。
ウシ膠、ウサギ膠、シカ膠などとして販売されていたが、分析の結果、39製品のうち24製品は説明と異なる動物だけが原料に使用されるか、別の動物が混ざっていた。
特にウサギ膠とされた14製品は、原料がウサギのみのものは一つもなく、うち8製品はウシやブタだけが検出された。残る6製品はウサギの他にウシやブタなどが混入していた。
ウサギ膠は粘度が高く油分が多いため、接着力や柔軟性が高いとされ、文化財の修復で重宝される。価格はやや割高で、100グラム数百円~数千円。ウシ膠の2倍になるものもある。

今回分析したウサギ膠は、国内の画材メーカー3業者がそれぞれ欧州から輸入し、卸売りしていた。ドイツから輸入している関西の業者は「信じがたいが、輸入元が原料を偽れば確認のしようがない」と語った。
そのドイツのメーカーは、取材にメールで「商品名は品質の説明に過ぎず、本物の原料を示すものではない。品質を得るために、どんな原料でも使用している」と説明した。
分析した高嶋美穂・同美術館保存科学室長は「ウシやブタの皮の方が入手しやすく、意図的に替えられた可能性がある」と指摘。希少なシカ膠やロバ膠でも他の原料が検出されており、「同じような事情かもしれない」と推測している。
消費者庁は「一般論として、品質が実際より優良であると消費者に誤認させれば、景品表示法に抵触する恐れがある」としている。天然の膠は原料を表示する義務はないが、商品名と原料が明らかに異なっており、同庁が販売元に是正を求める可能性もある。
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