「なんでもかんでも価格が上がる」食料品、今年は背景に物流費や人件費…今後も上がり続ける可能性
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物価9月 2・9%上昇
食料品の値上がりが続いている。国際情勢の変化をきっかけに上昇が始まった食料価格は、国内のコスト増でさらに押し上げられており、今後も値上げが繰り返されるとの見方も出てきた。(中西梓、水野友晴)
「値上げしなければ赤字」

「なんでもかんでも価格が上がる値上げラッシュ。嘆くしかない」。23日夕、東京都足立区の「スーパーさんよう」で買い物を終えた主婦(79)はレシートを手にため息をついた。
同店では、ペットボトル入り飲料やチョコレート菓子などを9、10月に続けて値上げした。低価格ブランドの商品を新たに仕入れるなど、客離れを防ぐ取り組みもしているが、多くの商品は価格上昇が止まらない。運営会社「さんよう」の阿部芳邦取締役は「値上げしなければ赤字になってしまう」と漏らす。
総務省が24日発表した9月の全国消費者物価指数によると、値動きの大きい生鮮食品を除く「総合」は前年同月から2・9%上昇した。このうち生鮮食品を除く食料は7・6%の上昇と、特に高い水準だ。

コメ類は49・2%の上昇で、ピーク時の今年6月からは2・5%下落したものの、2020年比では2倍程度になっている。鶏卵(15・2%)、コーヒー豆(64・1%)、チョコレート(50・9%)なども値上がりが顕著だ。
背景の変化
帝国データバンクによると、25年に価格改定される飲食料品は、前年比1・6倍の2万381品目に上る見通しだ。
ただ、価格上昇の背景は変化している。

食品メーカーに値上げの理由を尋ねたところ、24年前半までは、ロシアによるウクライナ侵略をきっかけに原油や小麦の価格が高騰したことや、急激な円安進行など、海外情勢が主な要因だった。
一方、今年に入ってからは、原材料高のほか、物流費や人件費の上昇など、国内事情を挙げる企業が主となっている。
家計は節約志向を強めている。8月の家計調査によると、2人以上の世帯が1か月間で食料に支出する金額は平均10万2443円だった。金額を単純比較した名目値では前年同月比5・9%の上昇だが、物価変動の影響を除いた実質値では1・2%の減少となる。値上がりに合わせ、購入量を減らしたり、安い商品に切り替えたりしていることがみてとれる。第一生命経済研究所の新家義貴氏は「食品メーカー各社の値上げが相次いでいるため、今は価格改定しても目立たず、シェア(占有率)にもあまり影響しない」と述べ、価格引き上げは続く可能性があると指摘する。



























