気仙沼市「最後の復興事業」はモノレール整備…NHK朝ドラ舞台の島、山頂の絶景「もったいない」

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 宮城県気仙沼市大島の「亀山」(標高235メートル)に2025年度の開業を目指して、「モノレール」の整備が今春から始まる。かつてあったリフトが東日本大震災で被災したものの国の復興事業に認められず、地方創生として事業化にこぎ着けた。関係者の期待は大きく、市は「最後の復興事業」と位置付ける。ただ、資材高騰などで20億円超に上る初期投資や維持費など課題も多く、十分な事業計画の精査が求められそうだ。(榊悟)

亀山の山頂から気仙沼市内を望む眺望
亀山の山頂から気仙沼市内を望む眺望

 NHKの連続テレビ小説「おかえりモネ」の舞台になり、「緑の真珠」と呼ばれる豊かな自然が魅力の大島。亀山山頂から360度眺望できるリアス式海岸は絶景で、市内随一の観光スポットだが、山頂に通じる市営リフトは大津波とその後の火災で焼失した。

 市は当初、復興予算でリフトの復旧を要望したが、観光施設のため認められず。それでも交渉を重ねた末、22年にデジタル田園都市国家構想交付金に採択され、モノレール事業として一気に動き出した。

 計画では、中腹の駐車場と山頂の片道409メートルを2両編成(各20人乗り)の車両でつなぎ、往復15分間隔で運行する。山頂には展望テラスやカフェスタンド、遊具などを設置し、遊歩道を改修するなど魅力を高める工事も実施。4月以降に基礎工事に着手し、レールや車両の発注を行うという。

 大島は19年に本土とつなぐ橋が架かり、観光客は以前の3倍以上の約30万人(22年)に増加した。だが、うち亀山を訪れたのは1万人程度。アクセスの悪さが原因で、駐車場から山頂付近まで運行するシャトルバスも土日祝日限定で、平日は約500メートルの登山道を歩かなければならない。

 「あれだけ風光 明媚めいび な場所をこのまま埋もれさせるのはもったいない」と語るのは長年モノレール構想を訴えてきた気仙沼産業センターの千田満穂会長(86)。開業後の運営も同社が担う予定で「気仙沼にとって悲願の事業。人口減少の中で外から人を呼び込むことこそ重要だ」と意気込む。

 一方、公設民営を予定するモノレールだが、当初9億9000万円だった事業費は、軟弱地盤対策や資材高騰で16億9000万円に増加。さらに山頂の整備に3億5000万円かかる。市は国に交付金の増額を要望中だが、当初は有利な過疎債の活用などで市の実質負担は1億5000万円で済む予定だったが、これも増える見通しだ。

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