先日、知り合いが亡くなった。まだ40代だった。
自分がまだ独身だった頃に行きつけのバーで知り合った常連客仲間のひとりだった。
彼女は年に1回位、彼の店に顔を出していたそうだけど、自分はもう15年以上彼に会っていなかったから。
お通夜のあと、彼女と彼女の旦那さん(彼も常連客で知り合い)と一緒に生前彼が親方をしていた和食居酒屋に行き、カウンターに生ビールを献杯していろんな話をした。ふたりに会うのもやっぱり15年ぶりくらいだった。
「なんかシュッとしてカッコよくなってたよな」
と彼女(彼女はいつもぶっきらぼうな口調)は言ったが実際はカッコよくはなかった。
倒れてから半年以上入院して意識が戻ることなく逝った棺の中の彼の顔は、生前のやんちゃ坊主みたいな丸顔では無く、げっそり痩せこけていた。
「最近は異世界にも居酒屋あるみたいだから、自分の店出してるかもよ」
「いいな」
なろう系に懐の深さ、広さを感じながら、彼の異世界への転生を祈った。
彼女とか彼とか一体誰が誰なのか
語り手:増田子 死んだ知り合い:和食料理人の男。(彼) 彼女:彼の死を教えてくれた同じバー常連の知り合い
「彼女は年に1回位、彼の店に顔を出していたそうだけど、自分はもう15年以上彼に会っていなかったから。」 この主語を変えて 「その常連(女性)は年に1回位、彼の店に顔を出してい...