2025-08-24

「ちりばめる」をどのように漢字表記すべきか


「ちりばめる」は古語「ちりばむ」の現代である

古語「ちりばむ」はどういう意味だったか

辞書には二つの意味が載っている。

まずは「塵ばむ」である

「ばむ」は「黄ばむ」とか「気色ばむ」とかの接尾語「ばむ」である

まり「塵ばむ」は「埃っぽい」「塵を被っている」という意味である

そして「金銀を刻んで彫る」という意味古語「ちりばむ」である

細かな金銀で象嵌するようなことを指しているのだろう。

意味的に現代語「ちりばめる」の元になっているのはこちである

この「ちりばむ」の漢字表記は「散り嵌む」「塵嵌む」「縮り嵌む」など諸説ある。

埃の「ちりばむ」が金の「ちりばむ」に変化したのか、それとも別々に生まれたのかはわからないようである

多くの辞書では埃の「ちりばむ」と金の「ちりばむ」は別項となっているが、埃の「ちりばむ」が転じた、とする辞書もある。

ではツイートで言われている「鏤める」は何なのかというと、

これは漢文訓読するときに「鏤」という字に「ちりばむ」の読みを当てたということである

「鏤」という漢字のもともとの意味は「金属彫刻する」というようなものである

まり象嵌というよりは彫金全般を指しているようであるが、それを「ちりばむ」と訳したのである

平安時代編纂されたという『新撰字鏡』に、

鏤 金乃知利婆女(こがねのちりばめ)

とあるらしいので、かなり昔からその意味で使われていたようである

日本語の読みと書きの対応関係はかなり自由である

「マジ」を「本気」と書くことも「真剣」と書くこともできる。

「マジ」の語源は「マジメ」の略だとか諸説あるのだが、それなら「真面」と書いて「マジ」と読むのも良さそうなものである

まあ「マジメ」を「真面目」と書くのも当て字だけれども。

それで「マジは本気と書くべきで真剣とか真面とか書いてはいけない」などということはないだろう。

同様に、「ちりばめる」を「散りばめる」と書いても「塵嵌める」と書いても「鏤める」と書いてもよい。

相手に通じるのであればどれでもよい、自由である、というのが本来的な態度ではないか

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