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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第939回

パナソニック「LUMIX DC-TZ99」が実現する驚きの30倍ズームは猫を撮るのにピッタリだった

2025年09月25日 12時00分更新

文● 荻窪 圭/猫写真家 編集●ASCII

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LUMIX

濡れ縁でめっちゃ気持ちよさそうに寝てるチャトラを30倍ズームで。猫を起こさずにアップで撮れるコンデジ! 2025年9月 パナソニック LUMIX DC-TZ99

一度は市場を明け渡したが
最近はコンデジが復権しつつある

 15年ほど前、バッグには大抵コンパクトデジタルカメラ(以下コンデジ)とデジタル一眼レフが入っていて、さっと撮りたいときはコンデジ、きちっと撮りたいときは一眼レフを構えたりしていたものだが、10年ほど前からそこにスマホが入り込んできて、いつしかスマホとミラーレス一眼という組み合わせが基本となり、コンデジの出番は消えていったのだった。

 実際、デジカメ市場でもコンデジの出荷台数は2008~2010年をピークに急激に落ち込み、かなり悲惨なことになっているのだ。でも最近、にわかに再注目を浴びており、ちょっとずつ盛り返しているらしい。

 そう聞くと、久しぶりに使ってみたくなるわけで、パナソニックから今年2月に発売された「LUMIX DC-TZ99」(6万4350円)を借りてみたのである。

 そしたらまあ、なんとも懐かしい。昔はこういうコンパクトカメラで猫撮ってたなあ、と思い出させてくれる。小さくて30倍ズームで、ぱっと取り出してぐわんとズーミングして、遠くの猫もデカく撮れるのだ。

LUMIX

往年のコンデジを知ってる人にはすごく懐かしいカメラ感。当時を知らない人にはすごく新鮮で、新しく感じるかと思う。これで24-720mm相当の30倍ズームなのだ。すごいよ!

 さすがに市場が小さくなった現在、最新の技術を詰めこんだってわけじゃないけど、このサイズで720mm相当の超望遠を手軽に楽しめるって、今さらながら超新鮮なのだ。スマホのズームとはわけがちがう。

 しかも、モニターがチルトするのがありがたすぎる。自撮りはしなくても、地面でへちゃっとくつろいでる猫を撮るときに欠かせないのだ。

懐かしい中にも最新のテクノロジーが詰まっている

 寝てる猫を猫目線で。なぜか、猫を人間の顔として検出してくれた(あのハチワレがいい感じに髪の毛ぽかったか?)のはご愛敬。

LUMIX

モニターを開いて芝生でくつろいでる猫を。モニターを開いて親指シャッターが撮りやすい……のだが、まさか顔検出するとは思わなかった。人間っぽい猫だった?

 撮ったのは、お庭でゴルフボールに交じってくつろいでたハチワレ。このおうちの方がたまたま外にいらしたので訪ねてみると、「飼ってるわけじゃないけどときどきくるのよ、夏の暑い間はあまりみなかったけど、涼しくなったから出てくるんじゃないかしら」と楽しそうに話されていた。9月になり、猛暑も終わり、ひょっこり出てきたのだろう。

 まずは全体がわかるように、230mm相当くらいにおさえた望遠で。

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まずは寄り過ぎずに1枚。まるでこの猫がゴルフボールを産んだみたいだけど、違います。2025年9月 パナソニック LUMIX DC-TZ99

 昭和の頃って庭に芝生を敷いて、ゴルフ練習ネットを置いてる家、いっぱいあったよね。今見るとなんか懐かしい。そして猫にはその芝生が気持ちいいのだ。ここで最大ズームまでぐいんとレンズを伸ばすと、これである。ゴルフボールと猫。ちょっとむすっとした顔がいい。

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そして、最大の30倍ズーム。ゴルフボールがひとつだけ転がってるのがなんだかいい感じ。2025年9月 パナソニック LUMIX DC-TZ99

 実はこの翌日、同じ猫と別の場所で出会った。先ほどの家から10mくらいしか離れてないので、縄張りのうちなのだろう。いきなり720mm相当の超望遠で。

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ちょっと振り返ってくれたところを望遠で。うさんくさいやつがいるって目で見られた。2025年9月 パナソニック LUMIX DC-TZ99

 警戒されてるギリギリの距離でも顔のアップが撮れるコンデジなのだ。

 冒頭写真は掃き出し窓の外にある、濡れ縁でお昼寝してる猫。寝てる猫を起こさずに撮れるのも、超望遠の良さ。ちょっと引いて撮るとこんな感じ。

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300mm相当くらいで寝てる猫。猛暑の夏が終わり、涼しい風も吹き、昼寝が快適な季節になったのがよくわかる。2025年9月 パナソニック LUMIX DC-TZ99

 超望遠だと、たいていの猫がドアップで撮れちゃうのでついつい望遠端にしがちだけど、ある程度全体がわかる絵も撮っておくべし。あとからどんな雰囲気、シチュエーションで撮ったかわかんなくなるから。撮った外猫の写真をシェアするときは撮影場所がわからないようにするのが基本なので、背景情報をぐっと減らせる望遠で撮れるのはデカい。

 ちなみに、望遠でしか撮らなかったのでどこで出会ったか思い出せないキジトラがこちらです。

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遠くから見てるのに気づいて「およ?」という表情で顔を上げたキジトラ。720mmでしか撮らなかったのでどこだったか思い出せないのだった。2025年9月 パナソニック LUMIX DC-TZ99

スマホカメラより小さいセンサーだけど
スマホにはないズームができるのが魅力

 最新モデルなのでUSB Type-Cで充電ができたり、スマホとつないでシェアしたりはできるけど、イマドキのハイエンドスマホより小さなイメージセンサーを積んでることもあって、暗所には強くなく、画質的にはデジタルを駆使したハイエンドスマホより劣ることもある。

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室内で180mm相当の望遠で撮ったうちの黒猫。椅子の上でちょっとぶすっとしてる。2025年9月 パナソニック LUMIX DC-TZ99

 とはいえ、比較的廉価でコンパクトなモデルながら望遠に強いのがありがたいので、散歩の友に持ち歩いて、スマホじゃ無理っていう遠くの猫を撮れるのがとても重宝するのである。ミラーレス一眼でこれだけの望遠をとなると、レンズがめちゃでかく重くなるから散歩向きじゃないし。

 一度はスマホに駆逐(?)されたものの、数年経って見直されてまた復活して最新の技術をいい感じに搭載した新製品がたくさん出て、市場を確保してくれたらいいなあ……と思いますよね。今なら往年のコンデジを知らない人から、新鮮味を持って迎えられそうだし。

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筆者紹介─荻窪 圭

 
著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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