新築住宅の着工件数が減少する中、高付加価値の再生アルミ建材を新たな収益源にする。規制強化で需要拡大が見込まれるが、再生資源の確保と量産技術で先行できるか。
LIXILは2025年10月から順次、再生アルミ使用率60%の低炭素アルミ材「プレミアル」を同社のアルミ使用製品の標準仕様にする。生産工程の改修によりコストは上昇したが価格は据え置いた。鉱石を精錬して作ったアルミニウム(新地金)を使用する場合に比べ、CO2排出量を50%削減できる。26年度中に全製品に導入し、27年度にシリーズ売り上げ4000億円を目指す。
同社は22年に再生アルミ使用率70%保証の「プレミアルR70」によってブランド展開を開始した。23年に同100%の「R100」の受注生産を開始し、ビルなど非住宅分野を中心に供給してきた。今回、使用率の下限を60%に設定し、自社製品の住宅用サッシや玄関ドア、エクステリア(外構)建材などに展開する。同社が強みを持つ住宅分野にも低炭素アルミのブランドを浸透させ、収益拡大を目指す。
建築物の排出規制に商機
低炭素アルミ製品の拡販に乗り出す背景には、建築資材の製造、施工、使用、解体・廃棄に至るCO2排出量「ライフサイクルカーボン(LCC)」の算定・開示を義務化する国の動きがある。25年6月に国土交通省は、建築物ライフサイクル評価(LCA)制度の検討会を設置した。28年度をめどに、まず大規模建築物を対象としてLCA算定制度を導入し、順次対象範囲を拡大していく方針だ。
検討会の主要な論点の1つが、建築資材の製造、施工、解体時におけるCO2排出量「エンボディドカーボン」の算定・評価である。LCCの約半分を占めるが、使用時における排出量「オペレーショナルカーボン」に比べて測定・評価が難しく、建築主や建設事業者とって大きな課題になっている。
LIXILの吉田聡執行役専務は、「近い将来、建材も製品ごとにLCAの実施と情報開示が求められるようになる。事実、商業ビルなど産業分野の建設事業者からのCO2排出量の可視化要請が急速に高まっている」と話す。
裏を返せば、排出量を可視化し低炭素を保証する製品に商機があるということだ。同社は再生アルミ使用率60%以上を標準仕様とする低炭素製品の拡充に乗り出した。アルミ製品の単位重量当たりCO2排出量を明示して低炭素をアピールするとともに、建設事業者のLCA算定の利便性を高める狙いがある。数値の信頼性を高めるため、国際規格に準拠した第三者認証「SuMPO EPD」を取得した。








