台風26号、フィリピン直撃 約140万人が避難し死者2人を確認

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台風26号(フォンウォン)がフィリピンに現地時間9日夜に上陸した。同国では140万人近くが避難し、10日までに2人の死亡が確認された。台風はその後、勢力を弱めながら、南シナ海を台湾の方向に移動した。
現地で「ウワン」と呼ばれるこの台風は、「スーパー台風」として上陸。最大風速は秒速約51メートル、最大瞬間風速は秒速約64メートルを記録した。
フィリピンの島で最も人口の多いルソン島のアウロラ州には、午後9時10分(日本時間午後10時10分)に台風の中心が到達した。翌10日午前2時までに、勢力はスーパー台風から台風に弱まり、ルソン島西部のラ・ウニオン州を通過した。
フィリピン気象庁は、「非常に強い」台風による破壊的な風と「生命を脅かす危険性が高い」高潮について警告を発した。
フィリピンでは、台風25号(カルマエギ)によって死者約200人が出たばかり。
市民防衛局によると、カトバロガン市では1人が溺れた。消防隊は、がれきの下に閉じ込められていた女性の遺体を収容した。けが人も2人報告されている。
民間航空当局はいくつかの空港を閉鎖。約300便が欠航となった。
フィリピン当局は、当初の予想より被害は軽かったとしている。ただ、多くの地域が依然として洪水により孤立した状態にある。
アウロラ州当局は10日、4つの町が孤立状態だと現地メディアに説明した。
ルソン島本島では広い範囲で停電が発生している。

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ルソン島東部アウロラ州のホテル従業員ハグノイさん(21)は、警察がここ数日、全宿泊客が避難したことを確認するため、ホテルを繰り返し訪れていたとBBCに話した。9日朝には、サバンビーチに並ぶホテルはすべて無人状態になったという。
アウロラ州中部では、スポーツセンターに開設された避難所に200人以上が移動した。多くの親が小さい子どもたちを連れていた。
避難していたパトリ・アズールさんは、「自宅は木と弱い素材で作られている。海辺なので安心できなかった」と話した。

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台風26号の到来で、25号が通過した後の救助活動を停止せざるを得なくなった。
台風25号は今年最大級の台風で、フィリピンでは豪雨による土砂が山腹から住宅地へと流れ込んだ。一部の貧困地域は急激な鉄砲水によって壊滅状態となった。
フィリピンでは死者が少なくとも204人に達し、行方不明者も100人以上となっている。ヴェトナムでも死者5人を出すなど大きな被害をもたらした。

フィリピン政府は、台風25号による被害発生と、26号に備え、全国に災害事態を宣言している。これにより、政府機関は緊急資金を使いやすくなり、被災者に不可欠な物資やサービスを迅速に調達・提供することが可能になっている。
ルソン島ソルソゴン市の教会に避難した現地住民マキシン・ドゥガンさんは、「自宅近くの波が今では巨大なので、ここに来た」と述べた。
フィリピンは、太平洋のサイクロン(熱帯低気圧)が発生する海域に近く、世界で最もサイクロンの被害を受けやすい国の一つとなっている。この海域では年間約20個のサイクロンが発生し、その半数がフィリピンに直接影響を及ぼす。
気候変動が世界でハリケーンや台風、サイクロンの発生数を増加させているとは考えられていない。しかし、気候変動によって海洋と大気の温暖化が加速され、発生するものの強度を増している可能性がある。これが、風速、降雨量、沿岸部での洪水リスクの増大につながっていることもあり得る。











