米政府閉鎖、過去最長の43日間で終了 トランプ氏がつなぎ予算案に署名

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アメリカの連邦議会下院(定数435)は12日、新しいつなぎ予算案を222対209で可決した。野党・民主党からも6人が賛成に回った。同日夜、ドナルド・トランプ大統領がこれに署名し、史上最長となった連邦政府閉鎖が終わることとなった。
トランプ氏は大統領執務室で予算案に署名し、政府閉鎖により「人々がとてもひどい被害を受けた」が、政府はいまから「通常業務を再開」すると述べた。
今回の政府閉鎖は10月1日に始まった。健康保険制度への支出をめぐり共和党と民主党が対立し、つなぎ予算案が成立しなかったためで、閉鎖は43日間続いた。これまでの最長記録は、第1次トランプ政権下での35日間だった。
新しい予算案は、2日前の10日夜に連邦議会上院(定数100人)で60対40で可決されていた。上院での可決には最低60人の賛成票が必要だったが、共和党議員53人のうち52人と、民主党議員47人のうち8人が賛成することで上院を通過した。
今回成立した予算は、来年1月30日まで連邦政府の資金を確保するもの。そのため、議会はこの期限までに再び資金調達を模索する必要がある。
トランプ氏はかねてから、政府閉鎖は起こるべきではなかったと繰り返してきた。予算案に署名する直前には、「この国はかつてないほど良い状態にある」、「今日は素晴らしい日だ」と語った。
トランプ氏は、民主党が求める医療補助金は「我々の医療事業を本当に傷つけるものだった」と主張。さらに、政府閉鎖は「恐喝」であり、「それが実態だ。民主党はこの国を恐喝しようとした」と付け加えた。
さらに、政府閉鎖は「純粋に政治的理由」で起きたと批判した。
トランプ氏はまた、2026年11月の中間選挙で投票する際には、今回の政府閉鎖が起きたことを覚えておくよう有権者に呼びかけた。
トランプ氏は、民主党が「何百万人ものアメリカ人が苦しむのを喜んでいた」と主張した。
10月1日以降、連邦政府の多くのサービスは停止され、連邦政府職員約140万人が無給休暇中あるいは無給での勤務を続けてきた。低所得者への食料援助も停止し、全国各地で航空便に混乱が生じた。
政府サービスは数日中に再開される見込み。政府閉鎖に伴う航空便の削減措置については、需要が高まる感謝祭(サンクスギビング、26日)を前に緩和される可能性が高い。
政府閉鎖の影響
連邦政府の閉鎖によって、数千万人の低所得者の生活を支える食料援助は宙に浮き、航空業界にも混乱が及んだ。
今月7日には、政府閉鎖によって無給で働く航空管制官やその他の連邦職員への負担を軽減するため、5000便以上の航空便が欠航または遅延した。政府閉鎖中、航空会社に航空便の削減を義務づける連邦政府の命令が、この日に発効した。
この命令は、ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴ、首都ワシントンなどの主要な交通拠点に影響を及ぼした。連邦航空局(FAA)によると、アメリカの空の安全を維持する役割を担う航空管制官たちは、人手不足の中で疲労を訴えていた。
航空管制官は必要不可欠な職員として、政府閉鎖中も無給で勤務を続けることが求められている。
しかし、航空職員の労働組合によると、過去最長となった政府閉鎖の間、1カ月以上無給で働き続けた管制官の多くがストレスのため体調を崩すなどした。
連邦政府の閉鎖が先月始まって以来、市民生活の機能維持に不可欠な政府職員も生活費を得るため、病欠を申し出たり、副業を始めたりした。
こうした数々の問題は、トランプ氏がつなぎ予算案に署名したことで解消されることとなった。
航空業界の混乱は、12日の下院での採決のためワシントンに向かおうとする議員たちにも影響をおよぼした。
共和党のデリック・ヴァン・オーデン下院議員(ウィスコンシン州)は、ワシントンまでの約1600キロの距離をバイクで移動した。
健康保険制度への支出で対立
連邦政府は10月1日、連邦議会で予算案が可決されなかったことを受け、約7年ぶりに閉鎖された。
民主党は、今年で期限切れとなる医療補助の延長を重視している。連邦政府のつなぎ予算に同意するにはまず、政府経由で医療保険に加入する国民数千万人を支援する補助金について、議会が対応しなくてはならないと主張していた。
民主党のチャック・シューマー上院院内総務は以前、共和党が医療制度に関する交渉を拒否することで民主党を「脅そうとしている」と述べた。
一方で共和党は、一時的な措置で政府資金を確保しようとしていた。
トランプ大統領は、こうした対立の責任は民主党にあると非難。政府閉鎖が発生した場合には、民主党が重視しているとされる連邦職員の大規模解雇や政府プログラム・サービスの削減を実施すると脅した。












