NASは、本体選んで終わりじゃない。肝心なのは、「HDD」だ!
初心者でも扱いやすい商品の登場で、人気沸騰中のNAS。本体に目が行きがちですが、「正しいHDDを選べるか」も、NAS運用の重要なポイントです。
NASのHDDって?
NASには、データを保存するストレージが始めから内蔵されているものと、自分で買って取り付ける「NASキット」が存在します。NASキットの魅力はズバリ、カスタマイズ性。自分にぴったりのHDDを選んだり、後からより大きな容量のHDDに買い替えて最大容量を拡張したりできるのがいいところ。
ただ、そこが難しい点でもあって…。Amazonを覗いただけでもHDDの種類がありすぎて、どう選んだらいいのか「?」になってしまいます。今回初めてNASキットを導入した私も、そんなHDD迷子になった一人でした。
ここでは、初めてNAS運用をする人に、NAS用HDD購入のポイントをご紹介します。
まずは “NAS用HDD” を選ぶ
まず前提として頭に入れておきたいのが、「HDDは消耗品」ってこと(寿命はだいたい3〜4年と言われる)。特にNASで使うHDDは、24時稼働させられる社畜も社畜。内部でディスクを回転させていますから、そりゃ、物理的に摩耗していきやすいわけです。だからこそ、故障して大切なデータを吹っ飛ばさないために、丈夫なHDDを買うことが何より大事。
買うのは、「NAS用HDD」一択です。
長時間駆動前提で設計され、耐久性に優れる、NASのためのHDD。有名ブランドでは、Seagateの「IronWolf」や、Western Digitalの「WD Red Plus」、Toshibaの「N300」辺りがNAS用HDDです。
商品ページで、NAS向けモデルかチェックしてから購入しましょう。
“RAID” をどうするか決める
「RAID(レイド)」。NASといえばよく聞くワード。
複数のHDDを組み合わせて、データの安全性を高めたり、アクセス速度を上げたりする技術ですが、これを構成することで、HDDが1台壊れても、他のHDDから復旧できるようにすることもできます。大切なデータ(資産)の味方!
ただ、RAIDを実現するためにはHDDが2台以上必要になります。出費を抑えたいか、データの安全性をとるか。そもそもの、RAIDの構成有無から決めましょう。
将来のデータ量を見積もる
では、容量はどれだけのものを選べばいいでしょう。
すでに外付けのHDDなどに自分のデータを保存している人なら、現在のデータ量以上のものを買うのがベター。
ポイントは、将来を見据えること。最近ではスマホで超高画質な写真や動画を撮れるようになりましたよね。でもこれって裏を返せば、データサイズも右肩上がりってこと。長期的に使うNAS。これからどんどんデータは増えていく前提に立って、それを許容できるだけの容量は欲しいところです。
そしてもうひとつ注意したいのが、RAIDを組む場合。
たとえば2台のHDDでRAIDを構成すると、1台の内容を、もう1台にそのままコピーするようになります(RAID1の場合)。つまり、1つのデータで、2倍格納場所が必要になってしまうのです。
仮に4TBのHDDを2台導入したとしても、使える容量は4TB x 2の8TBではなく、1台と同じ内容をもう1台がコピーするので、結局4TBに。
RAIDをどう構成するか、そしてそれにはどれぐらい容量があるといいか、事前に見極めておきましょう。
必要な読み書き速度を判断する
次に、実際にNASを運用することをイメージしながら、より具体的に検討していきましょう。
1つが、データの読み書きの速度です。頻繁にデータをやり取りする、あるいはサイズの大きなファイルを扱うって人には、気になるポイントですよね。
内部の円盤にデータを記録するHDD。これをぶん回して、データを読み書きしてくれるわけですが、回転速度が速いほど、読み書きも高速になります。
この回転数を表すのが「RPM」って値。1分間に何回回転するかを表します。HDDの仕様をよく見ると、「5400rpm」や「7200rpm」と書いてあります。もし読み書き速度を少しでも上げたいなら、値が高い方を選びましょう。
また、速度を気にするならキャッシュ容量も要チェック。64MBや256MBとか、書いてありますよね。HDD内の一時的なデータ置き場のことで、この容量が大きければ、読み書きが速くなります。
静音性と省電力性を検討する
じゃ、とりあえずRPM強い方がいいよね〜って、そう単純な話でもありません。
まず、RPMが多いほど、発熱しやすく、HDDから聞こえてくる騒音も大きめです。もしNASを作業スペースに置く予定なら、うるさいのって集中力削がれて嫌ですよね。
それにRPMが多いほど、内部のモーターを高速で回す必要があるため、消費電力も上がります。1年中つけっぱなしで運用していくなら、消費電力は少しでも抑えたいもの。
ここは、より高速なデータのやり取りをとるか、静かで省電力な方をとるか。自分のニーズに合わせて検討しましょう。
他にも、保証期間や記録方式、そもそもHDDじゃなくてSSDを使う、なども考慮するとなお良しですが、まずはスタートラインとしての上記5点を検討してみると、グッと絞られていくと思いますよ。
ニーズとコスパを見極めて。自分はこれを買いました
私は最終的に「8TB / 7200rpm / 256MB」の、Western Digitalの「WD80EFBX」を選びました。
どう選んだのか
まず、容量は8TBに。現在使っている外付けHDDが4TBほどを占めてきていて、先を見越しての選択です。
確かに12TBなんかは憧れますが、このHDDさんも、数年後には買い替え時期がやって来るはず。それまでに8TBを食い潰すほどデータは貯まらない、との予想から判断しました。
そしてまず最初は、HDD 1台からスタートすることに。RAID構成は、少し使って慣れてから。とりあえず現在ある外付けHDDも併用していく作戦です。
RPMに関しては、大きいサイズのデータを扱うことも多いので、読み書き速度が速いといいかなと思う一方で、騒音が気になって作業に集中できなくなるタイプ、かつ運用費も抑えたいので迷いました。
結果、当時たまたま安い7200rpmのモデル「WD80EFBX」を発見したのでこっちをチョイス。念の為、年間の電力消費コストと、セールの値下げ幅を比べてみると、値下げ幅の方がコスパがいいことがわかったのでこちらにしました。
意外と悩ましいHDD。でもしっかり悩んで、そろばん弾いてみた結果、納得の商品を買えました。
初めてのNAS構築の参考に!





