西十両4枚目の朝乃山(31=高砂)が、連勝で勝ち越しを決めた。大関時代の20年7月場所以来、5年4カ月ぶりの顔合わせとなった、東十両4枚目の輝に快勝して8勝3敗。立ち合いで頭からぶいかますと、相手の押しを下からあてがって対抗。得意とは逆の左を差し、右から力強く突き落とした。
1場所に数回しか繰り出すことのない、頭から当たる立ち合いは前夜に相手の取組を見て決めた。「相手は身長が高いし、踏み込み負けないようにと思って(頭からぶちかました)。胸から当たっていたら違う展開になっていたかもしれない。悔いの残らないよう、圧力をかけられたからこそ、左が入ったし、突き落としにつながった」と、全力の取組を振り返った。
勝ち越しを決めたが「目標はここじゃない。あと4日ある。1日1番、明日の相撲に向けて準備したい」と、ホッとした様子をまるで見せなかった。来場所の再入幕のためにも、その可能性が出てくる10勝以上が今場所の目標。連敗発進したが、残り4日間で2勝以上で、まずは来場所再入幕の権利を得ることになる。
十両優勝争いは、1敗のトップ、藤凌駕を2差で追う展開は変わらない。ただ、前日18日の10日目はトップタイだった大青山を2敗に引きずり降ろし、この日は3敗で並んでいた輝を4敗に後退させた。じわじわと逆転優勝の可能性を高める白星を連日、挙げた格好。それでも「先のことを考えず、目の前の取組に集中していく」と力説。終盤戦の残り5日間を幸先よくスタートし、このまま連勝を重ねた先に、逆転優勝があると信じて土俵に立つ。

