藤井聡太竜王らも熱中、対局サイトの草分けが27年の歴史に幕…開発の久米宏さんがほぼ一人で管理

スクラップ機能は読者会員限定です
(記事を保存)

「スクラップ機能」に登録したYOL記事の保存期間のお知らせ。詳細はこちら
メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 1998年から続く将棋対局サイトの草分け的存在「将棋 倶楽部くらぶ 24」が今月、年内でサービスを終えると発表した。離れた場所に住む愛好者同士が好きな時間に対局でき、強い相手との実戦経験が積みにくい地方からも棋士が生まれる原動力になった。スマートフォン時代になり、利用者が減少傾向にあったが人気は根強く、惜しまれながら役割を終える。

「将棋倶楽部24」の対局ページ
「将棋倶楽部24」の対局ページ

 同サイトは、技術者の久米宏さん(71)が、当時勤めていた事務機器会社の新規事業に応募して開発。登録会員数は30万人を超え、2006年に日本将棋連盟へ事業譲渡して連盟公式となった後も、サイトの管理は久米さんがほぼ一人で行ってきた。

 久米さんは当時、アマ四段の強豪。「近隣に力の見合う相手がおらず、対局者を手軽に見つけられるようにしたかった」と開発動機を語る。そのため、客観的な尺度で実力を示す「レーティング」を導入し、実力が近い人を見つけやすくした。勝敗や指し手の記録「棋譜」を見られるのも、当時の他のサイトにはなかった機能の一つだ。

竜王戦七番勝負の決着後、砂むし温泉を楽しんだ藤井竜王(右)と広瀬九段。二人は修業時代に「将棋倶楽部24」で腕を磨いた(2022年12月)=若杉和希撮影
竜王戦七番勝負の決着後、砂むし温泉を楽しんだ藤井竜王(右)と広瀬九段。二人は修業時代に「将棋倶楽部24」で腕を磨いた(2022年12月)=若杉和希撮影

 棋士にもファンは多く、愛知県瀬戸市出身の藤井聡太竜王(23)は「小学生の頃から、将棋倶楽部24で指していた。地方に住んでいると実戦の機会が限られてしまう中で、オンライン対局を通して強くなることができた」と話した。竜王などのタイトル経験がある広瀬章人九段(38)も、「漫画喫茶で何時間も指した時期もある。我々世代以降の棋士は『24』で実力を向上させた人がほとんどだと思う」と語る。現在人気のインターネット対局アプリ「将棋ウォーズ」の運営会社「HEROZ」の林隆弘社長(48)も、「ネット将棋の原点とも言えるサイト」と評価する。

 久米さんはサイト管理者として、対局でのマナー違反やAI(人工知能)を使った不正防止に、常に目を光らせてきた。時代に合わせてサイトを進化させてもきたが、管理は久米さん個人の力と情熱によるところが大きかったため、後継者がなく終了を決めた。

 連盟は「再開も検討したいが、現状では難しい。長年の運営に感謝している」とした。

 今の将棋人気につながる大きな足跡を残した久米さんは、「利用者が対局を楽しんでいる様子を見るのがうれしかった。自分で船を作ってこぎ出してきたようなもの。ここまで続けられて、感慨深い」と語った。(文化部 江口武志)

関連記事
竜王戦ツアー、日本が誇る名城が見守る姫路での第5局プレミアム観戦ツアーも発売スタート
スクラップ機能は読者会員限定です
(記事を保存)

使い方
速報ニュースを読む 「囲碁・将棋」の最新記事一覧
注目ニュースランキングをみる
記事に関する報告
7241036 0 囲碁・将棋 2025/10/22 15:00:00 2025/10/22 17:57:22 /media/2025/10/20251022-OYT1I50064-T.jpg?type=thumbnail

主要ニュース

おすすめ特集・連載

読売新聞購読申し込みバナー

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)