藤井聡太竜王らも熱中、対局サイトの草分けが27年の歴史に幕…開発の久米宏さんがほぼ一人で管理
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1998年から続く将棋対局サイトの草分け的存在「将棋

同サイトは、技術者の久米宏さん(71)が、当時勤めていた事務機器会社の新規事業に応募して開発。登録会員数は30万人を超え、2006年に日本将棋連盟へ事業譲渡して連盟公式となった後も、サイトの管理は久米さんがほぼ一人で行ってきた。
久米さんは当時、アマ四段の強豪。「近隣に力の見合う相手がおらず、対局者を手軽に見つけられるようにしたかった」と開発動機を語る。そのため、客観的な尺度で実力を示す「レーティング」を導入し、実力が近い人を見つけやすくした。勝敗や指し手の記録「棋譜」を見られるのも、当時の他のサイトにはなかった機能の一つだ。

棋士にもファンは多く、愛知県瀬戸市出身の藤井聡太竜王(23)は「小学生の頃から、将棋倶楽部24で指していた。地方に住んでいると実戦の機会が限られてしまう中で、オンライン対局を通して強くなることができた」と話した。竜王などのタイトル経験がある広瀬章人九段(38)も、「漫画喫茶で何時間も指した時期もある。我々世代以降の棋士は『24』で実力を向上させた人がほとんどだと思う」と語る。現在人気のインターネット対局アプリ「将棋ウォーズ」の運営会社「HEROZ」の林隆弘社長(48)も、「ネット将棋の原点とも言えるサイト」と評価する。
久米さんはサイト管理者として、対局でのマナー違反やAI(人工知能)を使った不正防止に、常に目を光らせてきた。時代に合わせてサイトを進化させてもきたが、管理は久米さん個人の力と情熱によるところが大きかったため、後継者がなく終了を決めた。
連盟は「再開も検討したいが、現状では難しい。長年の運営に感謝している」とした。
今の将棋人気につながる大きな足跡を残した久米さんは、「利用者が対局を楽しんでいる様子を見るのがうれしかった。自分で船を作ってこぎ出してきたようなもの。ここまで続けられて、感慨深い」と語った。(文化部 江口武志)




























