「エロゲーってすぐ脱ぐじゃん?逆に服着てる方がエロく感じるときあるよね」
そんな逆張り的な声がSNS上で一定の共感を集める中、そのニーズに技術的に真っ向から応えたエロゲーがいま話題を呼んでいる。
本作は、近年台頭してきた次世代可視化エンジン「QUX(クックス)」を採用。
通称「量子エンジン」と呼ばれるこの描画技術により、同一人物の異なる衣服状態を重ね合わせて同時に可視化するという、従来のゲームにはなかった演出を実現している。
どういうことか。
本作では、プレイヤーが恋人関係になるヒロインの“裸の姿”と“制服を着ている状態”を、量子的に重ねたまま表示することが可能なのだ。
これはつまり、キャラは服を着ているのに、脱いでいる状態も“同時に存在”しているように見えるというもの。
いいえ、違います。
単なるシースルーやエックス線的な演出とは異なり、QUXでは服の質感や重なりによる陰影と、肌の熱反応による微細な色変化までを物理演算している。
”裸を見ながら(味わいながら)、制服を愛撫する”という、高度に内面的なフェティシズムの再現が可能になっている。
シナリオ面でも、本作は一線を画す。
主人公は「世界の観測構造が狂った都市」でヒロインと邂逅するが、彼女は“自分の身体の状態”を自覚的に認識できず、服と裸の“存在確率”が曖昧なまま恋が進行する。
その結果、セックスシーンはどれもが"触れた感触と見えている視覚情報がズレる”という奇妙なズレを帯びており、プレイヤーは常に「これはどちらの彼女なのか?」と問われ続けるのだ。
エロゲーの表現が飽和し、単なる脱衣では抜けなくなった現代のエロゲー表現の限界に挑戦する本作、突きつけるものは視覚ではなく想像力をエロティックに加速させるという原点回帰だ。
そのうえで、技術的進化によって二重の世界を“視覚化”した点で、本作は極めて野心的な試みといえる。
着ているのに見えている