しかし、経済学の視点で見ると、転売は必ずしも「ただの悪」ではなく、状況によっては市場を効率化することもあります。
需要曲線は D(p) = n × (1 - p) になる。
p* = 1 - m / n
この価格で買えるのは「評価値が高い順」に上位 m 人となる。これが効率的な配分。
定価が低いままランダム抽選や先着だと、当選者の平均評価値は 0.5。
W_no-resale = m × 0.5
となる。低い評価の人にも当たり、高い評価の人が外れるためミスマッチが発生。
転売が可能だと、最終的には上位 m 人に行き渡る(効率的な配分)。
上位 m 人の平均評価値を V_top とすると、
W_resale = m × V_top - m × τ
V_top - 0.5 > τ
つまり、
「上位 m 人の平均評価値 − 0.5」が取引コストを上回れば、社会全体としては転売がプラスになる。
逆に τ が大きいと便益は消える。
p* = 1 - 20/100 = 0.8
ランダム配分の平均 0.5 との差は約 0.396
よって、取引コスト τ < 0.396 なら転売は効率改善。
逆に τ をそれ以上にできれば転売の便益は消える(抑止できる)。
利ざや = p* - p0 - τ
これが正なら参入が起きる。
メーカーが p0 を p* に近づければ利ざやは消え、転売インセンティブがなくなる。
先着や争奪戦では、消費者は待ち時間やクリック競争のコスト q を払う。
BOTがあると低コストで当選確率を独占でき、一般消費者の負担はさらに増える。
定価が均衡より低いと、転売は「高い評価の人への再配分」を通じて効率化する。
しかし、取引コストや行列コストがその便益を食い潰すことも多い。
メーカーが価格や販売設計を工夫すれば、転売インセンティブは大きく減らせる。
これをさらに一般的な分布やゲーム理論に拡張すると、チケット市場や限定グッズ市場での「感情的反発が起きやすい理由」も説明できる。