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AIと共に働くということ 第2回

汎用サービスから業務アプリ組込み型、業務・業種特化まで

「まだAIを使ってない」半数の日本企業に届ける ビジネスを変える4パターンの生成AIサービス

2025年11月28日 16時45分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 生成AIは、「試す」フェーズから業務で「使う」フェーズに移り、「ビジネス価値を創出」する企業も現れ始めている。

 一方で、総務省による情報通信白書(2025年版)によると、日本企業の業務での生成AI利用率は55.2%にとどまり、9割を超える米国やドイツ、中国と比べて著しく低い水準だ。加えて同調査では、導入にあたっての懸念事項として、「効果的な活用方法がわからない」に次ぎ、「社内情報の漏えいなどのセキュリティリスク」が挙げられている。

 本記事では、生成AI活用に本腰を入れたい企業向けに、セキュリティや管理機能を備えた企業向けの生成サービスを紹介する。

あらゆる業務で柔軟に使える「汎用生成AIサービス」

 最初に紹介するのが、生成AIアシスタントをベースとした汎用的な生成AIサービスだ。あらゆる業務に適用できる柔軟性の高さと、使い慣れている個人向けAIアシスタントと同じ使い勝手で利用できるのが強みだ。

 AIアシスタントを代表するOpenAIの「ChatGPT」では、法人向けに「Enterprise(大企業)」「Business(小規模企業)」の2つのプランを提供する。法人向けのChatGPTは、入力データがモデルの学習に使用されず、企業利用のためのセキュリティ機能や管理機能を備え、最新モデルを無制限に使える。

 コネクターで自社のデータソースとつなぎ、RAGによる回答精度の向上を図れる他、自律的に複数タスクを実行するエージェントモードも利用できる。

ChatGPT Enterprise(Webサイト

 Googleの「Gemini」でも、企業向けの機能を備えた「Enterprise(大企業)」「Business(小規模企業)」の2つのプランを提供する。Geminiでもコネクターで様々なデータソースをつなぎ、Google製のAIエージェントやエージェントビルダーで構築するカスタムエージェントを利用できる。さらに、Gemini Enterpriseでは、開発者向けのAIコーディングエージェント「Gemini Code Assist」も提供される。

Gemini Enterprise(Webサイト

 他にも、国内ベンダーが手掛ける、複数のAIモデルを選べる生成AIサービスとして、エクサウィザーズの「exaBase 生成AI」やJAPAN AIの「JAPAN AI CHAT」などがある。これらのサービスは、独自のテンプレートや伴走支援などにより、国内企業に最適化することで差別化を図っている。

 その中でも、業務効率化が喫緊の課題となっている中小企業向けに、NTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)が提供するのが「Stella AI for Biz」だ(参考記事:中小企業の“初めてのAI活用”に NTT Comらが伴走支援つきの生成AIサービス)。

 豊富なプロンプトテンプレートを用意し、ファイルをアップロードするだけでRAGが構築できる。1アカウントあたり月額1980円(税別)という価格に、伴走支援サービスも含まれるのも心強い。

Stella AI for Biz(Webサイト

「日々利用する業務アプリ」に組み込まれた生成AI

 日々利用する業務アプリにも、生成AI機能が組み込まれ始めている。アプリの画面内でシームレスに活用でき、アプリ内のビジネスデータがそのまま参照されるため、実業務で役立つ回答精度が確保されるのが特徴だ。

 代表的なサービスが、Microsoft 365に組み込まれた「Microsoft 365 Copilot」である。多くの企業が利用するOutlookやWord、Excel、PowerPoint、Teams内でパーソナルアシスタントを利用でき、既存の業務フローの中で生産性を高められるのが最大の強みである。

 なお、Microsoft 365ユーザーであれば、追加費用なしでAIアシスタントである「Copilot Chat」を利用できるが、アプリ内のデータへの接続は、Microsoft 365 Copilotライセンスが必要になる。Microsoft製のエージェントやCopilot Studioで構築するカスタムエージェントも利用可能だ。

Microsoft 365 Copilot(Webサイト

 同じく、Google Workspaceアプリに統合されているのが、「Google Workspace with Gemini」である。GmailやGoogle ドキュメント、Google スプレッドシート、Google スライド、ドライブ、Google MeetといったWorkspaceアプリでの業務をGeminiが支援する。Google Workspaceのライセンス内で利用可能だ(一番小規模な「Starter」プランでは機能制限)。

Google Workspace with Gemini(Webサイト

 ビデオ会議サービスの定番であるZoomでも、AIアシスタントである「AI Companion」を実装している。コラボレーション基盤である「Zoom Workplace」の有料ユーザーであれば、追加料金なしで利用可能だ。ミーティングやメール、チャット、カレンダー、ドキュメント、ホワイトボードといったコラボレーションツールに蓄積された情報を基にAIアシスタントを活用できる。

Zoom AI Companion(Webサイト

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