少年のころ住んでいた家の近所の高台にレンガ作りの小さな教会があった。
神父(牧師?)のお爺さんと、綺麗なシスターのお姉さんが三人いた。
日が沈んだ頃、教会の裏庭で讃美歌を歌う慣わしのようで、毎日シスターたちの三重唱が響き渡っていた。
水曜日の夕方、教会の懺悔室のドアに赤い紐が結ばれていることがある。
その紐をほどいて懺悔室に入ると、何か気持ちのいいことが起きるとか。
俺はそんなことは微塵も信じて居なかったが
シスターたちの名誉のために調べて噂を否定してやらねば、と思った。
噂なんて微塵も信じて居なかった。
それから何度目かの水曜日、懺悔室に赤い紐があるのを見つけた。
正確には赤というよりは茶色よりの色だった。
そして懺悔室に入ると噂は本当だった。
一言も交わさぬまま、響き渡る三重唱のなかでえもいわれぬ体験をした。
今でも讃美歌を聞くたび思い出す、少年の日の思い出…。
ホモ!