チームを「観察」するということ


この記事は、CYBOZU SUMMER BLOG FES '25の記事です。

こんにちは。kintone開発チームでスクラムマスターをしている大石です。
スクラムマスターの役割といえば、ファシリテーションやチームビルディングの実施を思い浮かべる方が多いかもしれません。
それらも大事な役割ではありますが、スクラムマスターが新しいチームに入ったときにまず最初にやることは「観察」です。
今回は、その「観察」について、私がどのように取り組んでいるか、どんな気づきが得られたかを紹介したいと思います。

最初にやることは「観察」

スクラムマスターとして新しいチームに加わるとき、私が最初に取り組むのは「観察」です。
チームの雰囲気やコミュニケーションのスタイル、スクラムイベントの進め方、メンバー間の関係性などを丁寧に見ていきます。
今年の4月にkintoneのモバイルアプリ開発チームに参加した際も、最初の数週間は観察に徹しました。チームメンバーは全国各地に分かれていて、SlackやZoomを使ったリモートでのやりとりが中心です。カメラがオフのことも多く、表情や雰囲気に頼ることができないため、言葉の選び方やちょっとした“間”から情報を読み取る力が求められます。

どうやって「観察」するか

スクラムイベント中に気になった発言や気づきをすぐにメモしています。ただ、チームに入ったばかりでプロダクトへの理解が十分でないうちは、断片的にメモを取るだけでは、後から見返したときに内容を理解できないこともあります。
そこで、特に最初の頃は議事録のように会話の詳細まで書き留めるようにしていました。さらに、疑問に思った点には「?」、自分が思ったことには「★」を付けるなど、自分なりの記号を使って後から振り返りやすくしています。
リアルタイムで指摘したくなることもありますが、観察に徹している間はぐっとこらえて、1on1やふりかえりなど落ち着いて話せる場を選んで質問や提案をするようにしています。

「観察」から介入へ ― タイミングの見極め

観察するだけではスクラムマスターとして不十分ですが、介入のタイミングを間違えると、かえってチームの流れを乱してしまうこともあります。ですので、今でもこの判断には慎重になります。
たとえば、議論が白熱しているときは手元でメモを取りながら聞くことに集中し、意見が出そろって少し落ち着いたタイミングで「〇〇という意見が出ていましたが、もう少し詳しく教えてもらえますか?」と声をかけるようにしています。
とはいえ、まだまだうまくできているとは言えません。書籍を読んだり、他の人の経験を聞いたりしながら、自分の引き出しを増やし、より良い介入の仕方を学び続けています。
また、介入の前提となる「信頼関係」も欠かせません。雑談や1on1を通じて、日常のコミュニケーションの中で少しずつ関係性を築くよう意識しています。

「観察」をどう活かすか

観察を続けていると、チームの課題や改善のヒントが少しずつ見えてきます。
そうした気づきを整理し、チームの改善につなげるために、私は「インペディメントリスト(障害リスト)」を作っています。
日々気になったことをリストアップし、優先度をつけて定期的にEMと共有しています。時には「本当にこれは障害なのか?」と指摘をもらいながらインペディメントリストを更新します。
このリストはスクラムマスターにとってのバックログのようなもので、観察を具体的な行動に落とし込むための大切なツールになっています。

これから

チームの観察から始まり、信頼関係の構築、そして改善への取り組みへとつなげていく。
この流れの中で、「今、このチームにとって本当に必要なことは何か?」を見極める力を、これからも磨いていきたいと思っています。
引き続き、観察と改善を通じて、チームの成長と価値創出に貢献していきます!