基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2025-10-01から1ヶ月間の記事一覧

大富豪が成層圏に二酸化硫黄を散布し始めたら何が起こるのかを全世界規模で描き出す気候変動SFの傑作──『ターミネーション・ショック』

ターミネーション・ショック作者:ニール・スティーヴンスン,坂村健パーソナルメディアAmazonこの『ターミネーション・ショック』は、『スノウ・クラッシュ』をはじめとした数々の近未来・テクノロジーSFで知られるニール・スティーヴンスンによる最新の気…

NHKの放送100年特集ドラマ原作にして、世界のエンタメSFに比肩しうる壮大な長篇──『火星の女王』

火星の女王作者:小川 哲早川書房Amazonこの『火星の女王』はNHKの放送100年特集ドラマ「火星の女王」の原作にして、『君のクイズ』や『地図と拳』で知られる作家・小川哲によるSF長篇だ。小川哲は今年でデビュー10周年だというが、デビューは早川書房が主…

何も対策をうたなかったら〈選択問題〉によって崩壊する可能性が高い保険市場をどのように成立させるのか──『ヤバい保険の経済学』

ヤバい保険の経済学――〈選択問題〉で、なぜいつもコケてしまうのか?作者:リラン・エイナヴ,エイミー・フィンケルスタイン,レイ・フィスマンみすず書房Amazonこの『ヤバい保険の経済学』は、特に保険でよくみられる「選択問題」、またこれが存在する「選択市…

ヒューゴー賞中篇部門を受賞した、遺伝子編集技術によって、マンモスが復活した近未来を描き出す遺伝子工学SF──『絶滅の牙』

絶滅の牙 (創元SF文庫)作者:レイ・ネイラー東京創元社Amazonこの『絶滅の牙』は最新のヒューゴー賞でノヴェラ部門を受賞した、マンモスが〝脱絶滅〟を果たした未来を描き出す遺伝子工学SFだ。マンモスが遺伝子編集技術で復活する! と簡単に言うが、そこに…

2025年ベスト級! フランスの哲学者・作家による、連作短篇と長篇の間のような、独特の味わいを残すSF作品集──『7』

7作者:トリスタン・ガルシア河出書房新社Amazonこの『7』は、フランスの小説家・哲学者のトリスタン・ガルシアによる、連作短篇集と長篇の間のようなSF作品集だ。物語は6つの短篇と一つの中篇から構成されているが、中篇(死んでも同じ自分に転生し幾度も生…