Gurobi Optimization社でテクニカルアカウントマネジメントを統括するKostja Siefen氏が、2025年11月に東京で開催された「Gurobi Connect 2025 in Tokyo」で基調講演を行いました。初来日となった同氏は、数理最適化ソフトウェア「Gurobi」の価値創造について3部構成で解説。AIの新時代における演繹的AI技術としての役割、エネルギーから金融、製造、航空まで多様な業界での活用事例、そしてスモールスタートから始まる導入の流れについて語りました。
初来日のシニアディレクターが語る、数理最適化の可能性
Kostja Siefen氏:こんにちは、はじめまして。Kostja Siefenと申します。本日Gurobi Connectのイベントでみなさまとご一緒できて、大変うれしく思っております。この基調講演で、みなさまをお迎えできることを心から光栄に思っております。
私はGurobi Optimization社で、テクニカルアカウントマネジメント部門のシニアディレクターを務めております。将来のお客さまや既存のお客様と緊密に連携し技術的支援を行うグローバルチームを率いています。
私たちのチームの使命は、お客さまが私たちのソフトウェアを活用して成功を収めるお手伝いをし、数理最適化が組織にもたらす真の価値を示すことです。
私は10年以上前にGurobi Optimization社に入社し、すばらしい経験を積んできました。私はドイツの、おそらくみなさんは聞いたことがない町、パーダーボルンに住んでいます。これまで多くの同僚が日本を訪れる機会に恵まれましたが、今回ようやく私自身が来日する機会を得ました。初めての来日に大変興奮しており、温かい歓迎を受けて感謝しております。
Gurobiをすでによくご存知の方もいれば、初めての方もいると思います。そこでGurobiがどのように価値を創造するかということをお話しする前に、まず私たちが何者で、何をしているかについて簡単に紹介したいと思います。
最近、人工知能はあらゆる産業で主要なトピックとなっています。多くの企業が効率性、生産性、そして意思決定全般を改善するために、AIをどのように活用できるかを模索しています。
今回の基調講演の第2部では、人工知能をより広い視野でとらえ、ほかのAI技術とシームレスに連携する技術として、Gurobiがこの領域で果たす重要な役割についてお話しします。
また第3部においては、厳選したグローバルなユースケースに焦点を当てます。これらの事例は多様性に富んでいます。当社技術がどこで大きなビジネス価値を生み出しているのか、そのポイントを感じていただければ幸いです。
最後にGurobiの主要なビジネス価値の概要と、企業が数理最適化技術の活用を検討する際の典型的なアプローチについてまとめます。みなさまの今後の取り組み——できれば私たちと一緒に——と、それに向けたヒント、具体的な次の一歩の指針を提供することが今回の目的です。
17年で1,300社が導入、数年で性能100倍を実現
まず、Gurobi Optimizationという企業について紹介します。私たちがどのような存在か、何を原動力としているか。そして当社の技術がどのように変化をもたらすかについてお話しします。
次に、私たちの使命とチームについて簡単に触れ、どのような価値を目指しているのかをご説明します。
最後に私たちの製品とその機能、そして世界中のさまざまな産業で無限に活用できる方法について触れます。
Gurobiの主要な数字を見るたびに、改めてその成長ぶりに驚かされます。17年前の創業以来、当社は成長を続け、現在では世界中のほぼすべての産業と地域にまたがり、約1,300社のお客さまに直接サービスを提供しています。
従業員数は200名の大台を突破したところです。そのうち約4分の1が博士号を持ち、特に技術部門では各分野の博士号取得者が多く在籍しています。
創業当初から卓越したカスタマーサポートは私たちの最優先事項の1つです。お客さまからはこの取り組みを高く評価していただき、毎年驚異的な満足度評価をいただいています。
特に強調したい数値があります。当社の進歩を如実に示すこの数値は、ハードウェアの変更なしに、ソフトウェア単体の性能が過去数年間でほぼ100倍向上したことを示しています。
つまり、以前は数時間かかっていた複雑な意思決定問題が、今では数分で処理できるようになったのです。これが継続的イノベーションの力であり、Gurobiの全社員を日々駆り立てる原動力となっています。

Gurobiは数理最適化に特化し、明確な焦点を持つ企業です。実際、私たちの事業は単一製品「Gurobi Optimizer」を中心に展開しています。長年にわたり、この中核製品を軸にツールやソリューションのエコシステムを構築してきました。しかし私たちの焦点は常に変わらず、この1つの製品を可能な限り最高のものにすることに100パーセント専念しています。
私たちの使命はシンプルで明確です。最も強力で、最速で、最も汎用性が高く、最も信頼性の高い数理最適化ソフトウェアを提供し、企業が大規模な意思決定を確信をもって行えるよう支援することです。
この使命ゆえに、製品品質は私たちの最優先事項です。毎日私たちはGurobi Optimizerの改善に取り組んでいます。世界中の多くの産業において、より良く、より速く、より有用なものにするためにです。

こちらの写真は今年初めにマイアミで開催された、私たちのオフサイトミーティングで撮影されました。ここにはGurobi Japanチームのメンバーが実際に何人か映っています。2025年11月現在、Gurobiの全世界従業員は204名です。そのうち18名がGurobi Japanに所属し、APJ(Asia Pacific and Japan)地域全体では38名の従業員が在籍しています。

Gurobiは創業当初から完全リモートワークの企業です。年に1度、全社員が1ヶ所に集まりグローバルオフサイトを開催します。さらに各部門も独自のオフサイトミーティングを実施しています。
例えば、現在はTech Summit 2026を計画中で、ヨーロッパで開催予定です。80名以上が1週間集結し、技術プロジェクトの共同作業や製品ロードマップの精緻化に取り組みます。
「テクノロジーパートナーシップ」 顧客の声が製品改良の源泉
お客さまとの関係性を表現する際に、最も好きな言葉としては「テクノロジーパートナーシップ」というのがあります。本当の意味で高品質なソフトウェア製品を構築する唯一の方法は、お客さまとの緊密な連携にあると確信しております。

製品の改良点の大半はこうした対話から直接生まれています。私たちは時間をかけて耳を傾け、何が本当に役に立つのか、日々の業務にどのような変化をもたらすのかを理解します。
例えば今月リリース予定の——実は今日、明日リリース予定の—— Gurobi 13.0ですけれども、技術的改良の多くがお客さまからの要望や、クライアント業界特有のニーズに触発されたものです。
Gurobiでは、技術を提供するだけでなく、その活用を最後まで支援することが私たちの責任だと考えています。だからこそ、世界最大級の博士号レベルの最適化専門家チームを構築しました。
そして積極的なお客さまに対しては、最大限のサポートを提供し、協業に制限を設けていません。これは強固で持続的なビジネス関係を築くための投資手法です。当社の技術が価値を証明するだけではなく、正しい方向へ成長し続けることを保証するためです。
大手のお客さまの中には、自社開発チームがある企業もあります。私たちはそのようなチームの支援も喜んで行っております。
そのほかの企業さまには、コンサルティングサービスを提供し、信頼できるGurobiパートナーとの連携を提案します。これにより、あらゆる企業が自社のビジネスに最良の最適化ソリューションを構築できるよう支援しています。