orangestarの雑記

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夢でみた「超面白い物語」が、自分内会議で没になる理由

夢で、ものすごい面白い物語のアイデアを得ることがある。覚醒時の自分では思いつかないような話。多分、寝てるときは起きてるときに働いているいろいろなバイアスや倫理機構が働いてないからだと思う

(まあ、夢の中で“超面白い!”て思ったアイデア、9割が起きたら「なんでアレ、あんなに面白いと思ったんだろう」ってものなんですが)

で、今日久しぶりに凄い面白いものを見た、思いついた

さえないおっさん同士のボーイミーツボーイ

片方が少年のような声が売りのVtuber。中身が実は中年に片足を突っ込んだおっさんなんだけど、声変りがしない病気でずっとそのことにコンプレックスを持っていた。(仲の良い友達はそれなりにいたけれども、何となくうまく距離を縮められなくて、学校を卒業したら疎遠になったりとか)それが、なんか、配信してみようと思ってやってみたら、なんか人気が出て、やっと自分で作ってできた居場所だった

もう片方は、結構普通のおっさんなんだけど、そのVtuberのことが好きで(女性だと思ってた)実物が自分と同じ普通のおっさんだと思ってがっかりする

そんな二人が、まあ、いろいろあるんだけれども、物語の執着地点、所謂凡庸な気付きとしては、「自分たちに必要だったのは、普通のおっさんの友だちだったんだな、っていうことに気付く(まあ、だから孤独なおっさん同士が、親友になるただそれだけの話だ)

タイトルは『きみのこえ』!


目が覚めて、しばらくして、正気の頭で確認しても、これ面白いな、と思えたので、夢からの物語の1割の『超面白い!』を引き当てた!と思ったのだが、ここで、自分の中の編集者兼ポリコレ担当が顔を出す

※ちなみに自分はポリコレのことを実は全く理解していないので、この脳内編集者もポリコレのことを理解していない。なので、危なそうだな、とか炎上しそうだな、とか、話題にちょっと危険な感じがするな、と思うと速攻で没をだしてくる

で、彼が言うには

  • この、「少年の声のまま大人になってしまう」って普通にある病気でしょう?これ、お話にしたらその病気の人が傷つくんじゃないかな?その病気の人がさえない友だちもいないおっさんって設定でしょ?こういう病気の人はそういう風になるっていう間違ったメッセージをおくることにならない?

「いや…でも、たまたまこの人がこういう風になっただけで、人それぞれにいろんなことがあり…」

  • 問題は読んだ人がどう思うかですよ
  • 第一、さえないおっさん同士の友情とか需要ないでしょう?あるけどさ、同じプロットで行くなら、少年と少女とか、イケメン同士のBLにするとかした方が需要はあるよ。なんか、声が少年のままっていう設定もファンタジーにしちゃってさ、本人の持ってるコンプレックスも深刻じゃなくて軽いものにしちゃおう、そっちの方が安全だし、見てる人のストレスも少ないし、メジャーに受けるよ
  • 高校生同士、大学生同士の恋愛にしちゃうのが一番いいんじゃないかな。一番受けるのは高校生同士の恋愛だと思うので、それにプロットを変えてしまおう

という
まあ、そうですね、その通りですね、というのもわかるし、まあ、彼が言う通り、「少年の声のまま大人になってしまった男性」というのが危険球なのもそうだろう

そういうわけで、この企画はゴミ箱行き。こういうのよくある

恐らく、寝ているときにしかアイデアが出てこないのは平時常時稼働している「頭の中の編集者」アプリがそういう思い付き自体をしないように抑制しているからだろうし、まあ、その判断は恐らく正しいのだろうけれども、なんというか、よくわからないどこに対してなのかもわからない、がっかりしたようなものがある

危険だな、の判断が、間違ってるんじゃないかな、というのはよく思う。これ実はいけるんじゃないか?って。確かに病気(や、他の場合の性的マイノリティ)に関しては配慮はいるけれども、ただ、登場人物のひとつの性質として出す分には問題が無いだろうと、論理的に考える自分は判断してしまう。だって、「家族が交通事故死んでしまった人」や「難病の持ち主」は普通に出てきて、そしてそういう人物が出たらその対象者は普通に傷つくけどでもそれは許容されている訳でしょう?

自分は感覚が古いし、頭も悪いので、「なにがOKでNGかが理解できていない」

もうなにもわからん