■anond:20250910100208

結論から言うと、「エッフェントリッヒゲハイムニス」というカナ表記はおすすめできません。ズレが3点あります（綴り／語形・発音・慣用表現）。

• ゲーテが実際に詩で用いたのは「Heilig öffentlich Geheimnis」（『Epirrhema』）という句です（直訳：神聖な“公然の秘密”）。ここでは öffentlich が形容詞で本来は語尾変化（öffentliches）が必要ですが、詩行では無変化で置かれています。原文は公的アーカイブで確認できます。
• 学術的・通例の表現としては、ゲーテ思想を論じる文献で offenbares Geheimnis（あらわな秘密）や das offene Geheimnis（開かれた秘密）という言い方が広く使われます。
• 日本語圏ではこの観念を「公開（顕在）せる秘密」と訳して論じる研究があり、対応するドイツ語は文脈により offenbares/offenes/öffentliches Geheimnis が使われます。

カナ表記の目安

目的に応じて、次のように書くのが自然です。

• 詩の語法をそのまま示したい（『Epirrhema』の句）：

エーフェントリヒ・ゲハイムニス（öffentlich Geheimnis）

※無変化で置かれているため -es は付けません。

• 一般的な独語の語形で言う「公然の秘密」：

エーフェントリヒェス・ゲハイムニス（öffentliches Geheimnis）

• ゲーテ思想でよく引かれる言い方：

オッフェンバーレス・ゲハイムニス（offenbares Geheimnis）

あるいは ダス・オッフェネ・ゲハイムニス（das offene Geheimnis）。

「エッフェントリッヒ…」が不自然な理由

• öff は \[œf] で、小さい「ッ」を置かず エフ と書くのが普通です。
• …lich は「リヒ」であって「リッヒ」ではありません。
• 文脈が「一般名詞句」なら öffentlich は語尾変化して öffentliches にするのが標準です（詩句をそのまま引く場合は別）。

要するに、その本がどの独語表現を想定しているかで最適な表記は変わりますが、「エッフェントリッヒゲハイムニス」は標準的な読みに照らすと適切とは言いにくいです。

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