2025-10-14

眠る娘の手を握る

夏の盛りに娘が産まれた。

まれたての娘はとにかく不器用で、握りこぶし必死舐めるまり差し出された哺乳瓶に気付けなかったり、手を開いたまま顔に擦り付けて指を目に勢いよく入れようとしたりしている。

娘は寝相が悪い。浅い睡眠中に手足をもぞもぞ、じたばたと激しく動かしている。そのまま寝てくれれば良いのだが、時折自らのこぶし自分の顔を殴ったり、自らが立てた物音に驚いたりして覚醒することがある。不器用だ。

対策として、娘が深く寝入るまでの間、手を握ることにした。存外力が強く手の動きを完全には制御できない。力を入れすぎるのも危ないだろうと優しく握る程度だが、効果はありそうだ。

娘の小さい手は、小さいのに指は5本あり、それぞれの指に関節があり、これまた小さい爪がついている。ただでさえ小さい手が握られているかさらに小さくなり、私の手で包むとまるでおにぎりの中の梅干しのようだ。

小さくて柔らかくて、実に愛らしい梅干しだと思う。

これが最後だと気づかない間に終わっていくのが育児だ、とどこかで見た。

いつかは娘の手を握って眠ることにも最後が来て、懐かしく思う日が来るのだろう。

どうかその最後が、娘が健やかに育った結果、自然と訪れるものでありますように。そう願ってやまない。

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