2025-04-14

anond:20250412210849

それから数年経った。

あの日のことをふと思い出すたびに、胸の奥がじんわりあたたかくなる──…はずだった。

でも、ある日のこと。通勤途中、駅前コンビニ午後ティーを手に取った瞬間、背後から「久しぶりだな」と低い声がした。

振り返ると、あのおじさんがいた。

全然老けてない。というか、全く変わってない。時間が止まってるみたいに、あの日のままの姿。

ちょっと来てくれ」とだけ言って、駅の階段を降りていく。

気づいたら、ついて行ってた。

地下鉄の奥の奥、関係者以外立ち入り禁止のドアをすり抜けた先に、鉄の扉があった。

開いた瞬間、目の前に広がっていたのは、――地下都市。空に見えるはずのない青空、無数の塔、浮かぶ車。人々は静かに、でも確実に何かを守るように生きていた。

「ここは“境界線”の都市だ。現実と、崩れそうな心の狭間にある。」

おじさんが言った。「あの日、お前の存在がこの都市を安定させた。今度は、お前がこの都市を守る番だ。」

けがからなかった。でも、手にした午後ティーは、ほんのり温かくて、なぜか勇気が湧いた。

「まずは訓練からだな」

おじさんが振り向いて笑ったその瞬間、背中から大きな機械の羽が展開された。

……まじかよ、午後ティー1本で人生、こんな方向にぶっ飛ぶとは。

記事への反応 -
  • 橋の上で、ぼーっと川を見下ろしてた 寒くて、風が冷たくて、でも心はそれよりもっと冷たかった 全部どうでもよくなってた そんなとき、知らないおじさんが隣に来て、午後ティーく...

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