それから数年経った。
あの日のことをふと思い出すたびに、胸の奥がじんわりあたたかくなる──…はずだった。
でも、ある日のこと。通勤途中、駅前のコンビニで午後ティーを手に取った瞬間、背後から「久しぶりだな」と低い声がした。
振り返ると、あのおじさんがいた。
全然老けてない。というか、全く変わってない。時間が止まってるみたいに、あの日のままの姿。
気づいたら、ついて行ってた。
地下鉄の奥の奥、関係者以外立ち入り禁止のドアをすり抜けた先に、鉄の扉があった。
開いた瞬間、目の前に広がっていたのは、――地下都市。空に見えるはずのない青空、無数の塔、浮かぶ車。人々は静かに、でも確実に何かを守るように生きていた。
「ここは“境界線”の都市だ。現実と、崩れそうな心の狭間にある。」
おじさんが言った。「あの日、お前の存在がこの都市を安定させた。今度は、お前がこの都市を守る番だ。」
わけがわからなかった。でも、手にした午後ティーは、ほんのり温かくて、なぜか勇気が湧いた。
「まずは訓練からだな」
橋の上で、ぼーっと川を見下ろしてた 寒くて、風が冷たくて、でも心はそれよりもっと冷たかった 全部どうでもよくなってた そんなとき、知らないおじさんが隣に来て、午後ティーく...
それから数年経った。 あの日のことをふと思い出すたびに、胸の奥がじんわりあたたかくなる──…はずだった。 でも、ある日のこと。通勤途中、駅前のコンビニで午後ティーを手に...