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人と人をつなぎ、さらには人とAIもつなぐ ― Zoomが社会に提供する価値とは

「気がつけばそこにある」を目指すZoom AI時代に変わるもの、変わらないもの

文●大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

提供: ZVC JAPAN

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 「今回の発表を見ても、Zoomとしての基本的なコンセプトは変わっていません。創業当初からのビジョンを、ずっとエンハンスして(広げて)きていると思います」

 9月中旬、米国Zoom Communications(以下、Zoom)の年次カンファレンス「Zoomtopia 2025」が開催された。そこでは、近年注力しているAI Companionの最新版「Zoom AI Companion 3.0(以下、AIC 3.0)」をはじめ、コミュニケーション/コラボレーションの統合プラットフォーム「Zoom Workplace」、「Zoom Revenue Accelerator」「Zoomカスタマーエクスペリエンス(Zoom CX)」といった業種/職種特化ソリューションなど、幅広い領域で新機能と機能強化が発表された。

 特にAIC 3.0では、エージェント型AIの機能群が発表されたほか、「Slack」「Microsoft Teams」とのネイティブ統合、WebブラウザからAICへのアクセス機能など、Zoomのツールだけに閉じない“オープンなAIプラットフォーム”としての存在感も高めている(関連記事:「Zoom AI Companion 3.0」が登場 エージェンティックAIへの進化を掲げる)。

 本格的なAI時代を迎え、Zoomは大きな方向転換を図ろうとしているのか? ――そう質問したところ、Zoom日本法人(ZVC JAPAN)を率いる下垣典弘氏から返ってきたのが、冒頭に挙げたやや意外な答えだった。

 今回は「Zoom×ASCII」サイトの公開を記念して、これからのZoomのどこが変わらず、どこが変わるのか、そしてどこを変えていくのかを、下垣氏に詳しく聞いた。

変わらないもの:Zoomは「人と人のつながりが生む付加価値」を提供する

 Zoomが主催するイベントなどで、下垣氏は登壇するたびに「Zoomは人と人とをつなぐ会社です」と自社を紹介してきた。「これが変わらない部分」だと、下垣氏は説明する。

 2011年に米国で創業したZoomだが、日本でその知名度が高まったのは、2020年初頭からの新型コロナのパンデミックがきっかけだった。それ以後、ビジネスの世界では非対面のビデオミーティング(ビデオ会議)が広く浸透し、Zoomの名前は“ビデオ会議サービスの会社”として、日本国内に知れ渡った。

 ただし下垣氏は、Zoomが本来提供したいと考えているのは、ビデオ会議という限られた手段にとどまるものではないと強調する。

 「Zoomはもちろん、新しいビデオ会議プラットフォームを作ったことで有名になった会社です。しかし、創業者はもともと『人と人とをつないで、世の中をより便利にしたい』という思いからビジネスをスタートしています。Zoomが最終的に提供したいものは、サービスやプロダクトではなく『人と人とがつながることで生まれる付加価値』である――。そうご理解いただければと思います」

 そのため、提供するサービスも、ビデオ会議の「Zoom Meetings」にとどまらず、IPフォン/クラウドPBXの「Zoom Phone」、チャットやカレンダー機能、メールなどのソリューション全般を含む「Zoom Workplace」、クラウド型コンタクトセンターの「Zoom Contact Center」、ビジネスの収益加速を支援する「Zoom Revenue Accelerator」、さらに教育機関向けや医療機関向けなどの「Business Services」製品群と多岐にわたる。つまりは、あらゆる“人と人との接点”に拡大し続けているのが現状だ。

Zoomが展開するサービス群の全体像

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