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ブラックフライデー
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企業ブランディングにおける3つの障壁 前編では、企業ブランディングの方向性を検討する「方針策定フェーズ」におけるポイントとして、企業ブランディングの目的と自社が目指す姿を明確化する方法や、そもそも企業ブランディングが目的を達成する手法として適切かも含めて問い直すことの重要性をご紹介した。後編となる本稿では、実際に企業ブランディングを推進していく「実行フェーズ」におけるポイントを解説していきたい。 弊社の過去支援事例を振り返ると、企業ブランディングの実行に際しては、多くの企業が以下の3つの障壁に直面していた。 障壁1:何をKPIにすべきかわからない/目標水準がわからない 障壁2:なかなか効果が出ない 障壁3:PDCAサイクルが回らない それぞれの障壁の内容と打開策について、順番に解説する。 障壁1:何をKPIにすべきかわからない/目標水準がわからない 第一の障壁は、活動の成果を定量的に観測す
AIが“街に出る”──テックブランドの新たな動き AI企業がカフェを開く――そう聞けば、多くの人は意外に思うだろう。だが今、テックブランドの間で「リアル空間」を活用したマーケティングが静かに広がっている。 先駆けとなったのは、AI企業Anthropicがニューヨーク・ウエストビレッジに開いた期間限定のポップアップ「Claude Café」だ。もう一社、開発者向けAIツールを提供するCursorも、サンフランシスコで同様のカフェ型イベントを展開している。 店頭ではラテを片手に、来場者がAIとの対話を体験し、SNSでは写真や感想が次々と投稿された。コーヒーショップという親しみやすい空間で、最先端のAIを“触れる存在”として感じ取る――この光景は、テクノロジーの社会的な立ち位置が変化しつつあることを象徴している。 AIはこれまで、画面の中に閉じ込められた存在だった。だが今、AI企業たちはあえて街
インターネット登場以来の大変革期到来 ──AIの進化および浸透は、生活者の購買行動や企業の活動にどのような影響を及ぼしていますか? 加藤:情報検索や購買行動など、あらゆる場面でAIが浸透しつつあります。特にAIエージェントの登場によって、インターネット登場時と同規模の変革が起きると言えるでしょう。 アクセンチュア マネジング・ディレクター Accenture Song 営業日本統括 兼 クライアントグループ日本統括 加藤 圭介氏 2001年にアイ・エム・ジェイ(IMJ)へ入社。取締役副社長COOを経て、2018年にアクセンチュアへ入社。約20年間、一貫してデジタル変革やデジタル領域におけるデータ活用、マーケティング戦略&実行支援、などに関わる。現在はAccenture Songのセールス日本統括、M&A・アライアンス推進などに従事 加藤:生活者の観点では、無駄な作業から解放され、本来やりた
「可視化へのニーズ」がMMM導入のきっかけに MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)は、様々な施策の効果を定量的に可視化し、中長期的な戦略策定や予算配分など適切な意思決定を実現する手法だ。デジタルシフトにともない注目されてきた手法である一方、導入や運用の実体験が語られる場面はまだ少ない。そこで本セッションでは、モデレーターのEVERRISE 松本健太郎氏の進行のもと、味の素と日本ピザハットの実践が明かされた。 株式会社EVERRISE データ戦略アンバサダー 松本健太郎氏 はじめに日本ピザハットの薮内浩平氏が、MMMを導入した背景を紹介した。同社では長らくチラシ配布やテレビCMといったオフライン広告に多額の広告費を投じてきたが、2020年頃から、デジタル広告にシフトする必要性をより強く認識するようになった。ところが、それを実践に移すのは簡単ではなかったそうだ。 「皆、心の中ではデジ
安定的な経営の実現に向けて、高まる企業ブランディングの重要性 昨今の経営環境は、労働人口の減少による採用競争の激化や働き方が多様化する中での従業員のエンゲージメントの維持・向上、さらに環境問題の深刻化を受けたESG投資の拡大など、様々な課題を背景に、一段と厳しさを増している。このような状況下では、商品やサービスの訴求にとどまらず、企業ビジョンや日々の企業活動を社内外に一貫して発信し続けることで、ステークホルダーの信頼を獲得し、中長期的な企業価値の向上を図ることが必要だ。こうした背景から、企業ブランディングの重要性が増している。 各社の企業ブランディングへの注力度合いは、テレビCMの出稿量にも表れている。図1は、テレビCMの出稿量推移を年別に示したものである。テレビCM全体の出稿量は年々減少傾向にある中で、企業訴求のCMの出稿量は維持されている。長期的なブランド価値や企業姿勢を消費者に浸透さ
戦略の前にあるもの──「課題を考える力」 前回の連載で、AI時代においても変わらないマーケティングの役割は「人の非合理=本音を捉え、提供すべき価値を設計すること」だと述べました。言い換えれば、マーケティングの対象はいつの時代も“人”。これが変わらない本質だと私は考えています。 そのために必要な基礎能力を、私は「構造理解力」「仮説思考力」「論理思考力」の3つと定義しています。いずれもビジネス一般に必要なスキルですが、机上の学習だけでは身につけることが難しいものです。ビジネスの現場で課題に向き合い、検討を重ねるプロセスの中でしか鍛えられないことを、キャリアを通じて実感してきました。つまり、戦略を考える力とは、課題に向き合い解決策を考える過程で身につくものだと思います。 前職でも「戦略を考えろと言われても、どう考えればいいのか?」という相談をよく受けました。私自身、様々な戦略書を読み込みましたが
AIの浸透で「コンテンツ制作民主化」時代へ突入 MarkeZine編集部(以下、MZ):様々な企業があらゆる業務フェーズに生成AIを取り入れる中、コンテンツ制作の現場では何が起きているのでしょう。まずは、率直に現状を教えてください。 阿部:ひとことで言うと「混乱」しています。人間が徐々に順応し、置き換えていく時間もなく、整理が付いていないまま高速でAIにリプレイスされている状況です。このような状況は、今までなかったのではないでしょうか。 MZ:生成AIは従来のテクノロジーとは一線を画す存在なのですね。コンテンツ制作の量とスピードの常識も、ここ数年で大きく変わっているのでしょうか。 阿部:そうですね。たとえば、4案のアイデアを提示していた代理店が、同じ時間で10倍の40案を持ってくるといった事象が実際に起きています。クライアント企業にとっては、選択肢の幅が飛躍的に広がる「いい時代」になったと
『MarkeZine』が主催するマーケティング・イベント『MarkeZine Day』の 最新情報をはじめ、様々なイベント情報をまとめてご紹介します。 MarkeZine Day
日本電信電話(以下、NTT)と電通は、VR空間における大規模イベントプラットフォームと広告事業のあり方を検討するため、年9月30日からオンラインで開催される「東京ゲームショウ VR 2021」(「TGSVR2021」)にてVR広告の共同実証を実施する。 来場者がVR空間の中で楽しめる3D広告体験を複数パターン設計。NTTの展示スペースをはじめとする会場内に配置するとともに、それぞれの効果を計測し、比較、検証する予定。 実証する3D広告体験例 1:その場にいるような体験設計 まるでその場にいるような等身大かつ、リアルな3Dオブジェクトコンテンツ、所有できる・購入できるアバターグッズなど、VRならではのユーザー体験を提供する。 2:臨場感あるブランド訴求 VR空間内で、遠くにある動画や画像を、自分の目の前に引き寄せて拡大閲覧ができるGrab & Play看板で、臨場感と迫力のあるブランド訴求を
AI時代の前提──何が変わり、何が変わらないのか 今回は、今後の「強みにフォーカスするマーケティング思考」の前提となる将来の社会環境について、皆様と一緒に考えていきたいと思います。AIによって何もかもが変わる──そんな言説が飛び交う中、世界中で大規模な投資競争が巻き起こり、AIはこの瞬間にも進化を続けています。「AIが人の職業を奪う」といった悲観的な未来予想もありますが、圧倒的な利便性には人間は抗えない、というのもまた事実です。 そうなると、ここで伝えていくマーケティング思考も、AIの普及によって変わるのではないかという疑問も浮かびます。だからこそ、具体的な思考の型に入る前に、AIによる変化にまずは触れておきたいと思います。 今年の3月、私はサンノゼで開催されたAIカンファレンス「NVIDIA GTC」に足を運びました。AI活用の最前線を自分の目で確かめたいと思ったからです。会場では、AI
楽天グループのAI領域における取り組み MarkeZine:はじめに、AI領域における楽天グループの取り組みについてお聞かせください。 伊藤:楽天グループは、日本企業の中でも特に積極的にAI活用を推進してきた企業の一つだと思います。グループ全体で「トリプル20」を掲げており、具体的にはAIを活用することで「マーケティング効率」「オペレーション効率」「クライアント効率」を20%向上させることを目指し、様々な取り組みを推進してきました。こうした社内のプロジェクト推進はもちろんのこと、AIによる事業価値の向上にも力を入れています。 楽天インサイト株式会社 リテール&ブランドソリューションズ部 部長 兼 AIソリューション部 部長 伊藤暖氏 MarkeZine:楽天インサイトでは、どのようにAIを事業に取り入れているのでしょうか? 伊藤:リサーチ・データ分析の領域において、AIを用いたツールの開発
Netflixは「エンターテインメントサービス」である MarkeZine:Netflixが広告事業を開始してから約3年が経ちました。2025年7月には日本でもプログラマティック広告の配信がスタートし、いよいよNetflix広告の活用が本格化していくのではと見ています。 まずは、広告事業においてNetflixが掲げているミッションからうかがえますか? 田中: Netflixのミッションは「Entertain the World(世界を楽しませる)」です。これはNetflixとして掲げているものであり、広告事業でも同様に「Entertain the World」を追求しています。 Netflix Director,Head of Advertising Sales Japan 田中俊之氏 もう少し具体的にご説明すると、我々は「Netflix=広告プラットフォーム」であるとは自認していません。
PR手法をマーケティングに取り入れる「検索創出型マーケティング」 ネットやテレビで取り上げられた商品や店舗、最近注目の話題に触れた時、ほとんどの人は手元のスマートフォンでまず検索するのではないだろうか。検索することは、「その商品や店舗、話題が気になる」という心理が働くためだ。検索して購入・契約意識が高まれば、そのままコンバージョンにつながることもある。つまり人々の検索行動を創出できれば、それは非常に強力なマーケティング手法といえる。 キーワードマーケティング 代表取締役社長の瀧沢貴浩氏は、検索行動を生み出すマーケティング手法「検索創出型マーケティング(Search Creation Marketing:SCM)」を確立し、その啓発・普及に取り組んでいる。 瀧沢氏が定義する検索創出型マーケティングとは、第三者による客観的な情報発信によって、コンバージョンにつながる検索流入を直接的に創出する手
顧客は「ターゲット」ではない、「体験者」である 「UXデザイン? ああ、アプリのボタンを大きくしたりするやつでしょ? ユーザーのためと言われてバナーを表示できないと困るんだよね」 もし今、心の中からそんな呟きが聞こえたのなら、この記事はまさにあなたのために書かれているかもしれません。デザインを「絵描きさんのお仕事」と誤解していませんか? その認識のまま突き進むなら、それはマーケティングの最も重要な武器「顧客の心をつかむ力」を、自ら手放しているに等しいです。 かつて、マーケティングの主戦場は広告とプロモーションでした。いかに多くの人に製品を知ってもらい、購買へと駆り立てるか。その一点に注力し、ブランドイメージを構築し、メッセージを最適化してきました。それは間違いなく重要なプロセスです。 しかし、デジタル化が進み、消費者が情報を主体的に選択し、製品やサービスを「体験」する時代において、その武器
ノスタルジーはなぜ共感を生むのか?──安心感と連帯の感情 ノスタルジーがマーケティングで注目される理由は、それが人々の「感情的な記憶」や「社会的なつながり」に直接作用するからだ。アメリカ合衆国に本拠を置くBtoB向けのマーケティング&ITサービス仲介プラットフォーム企業「DesignRush」は、ノスタルジーマーケティングを「不確実な時代における“感情の錨(いかり)”」と表現し、ブランドロイヤルティやコンバージョン率を高める効果があると指摘している。 現在、全広告のうちノスタルジーを活用しているのはわずか3%にすぎないが、その少数派が得るインパクトは大きい。Z世代においては、12〜29歳の52%がクラシックブランドを好み、81%が子ども時代の製品の再登場を歓迎している。また、Z世代の37%は実際に体験していない1990年代に対してもノスタルジーを感じているという。 こうした感情はTikTo
「界隈」が抱える課題 前編で紹介したように、「界隈」が社会に浸透し、「界隈」に所属しながら情報交換を行い、消費までしている人が出てきている中、生活者が「界隈」について本当はどのように思っているのか、「界隈」に対するイメージ/意識も調査しました。 「界隈」に対するポジティブな意識を図表6に示しています。 図表6 「界隈」に対するポジティブな意識(n=4,173)(タップで画像拡大) 「『界隈』にいることは幸せなことだ」という項目には全体で26.4%の人が「そう思う/ややそう思う」と答えています。特に10代男性は、他のどの層よりも「界隈にいることは幸せなことだ」と感じ、「界隈にいると友人が増えると思う」と強く認識していることがわかります。これは、若年層にとって「界隈」が自己肯定感の向上や社会的なつながりを得る上で重要な役割を果たしている可能性を示唆していると考えられます。 一方で、ポジティブな
Google検索の新機能「AI Mode(AIモード)」とは? 前回は、Google検索の新機能「AI Overviews(AIによる概要)」についてお話ししました。今回はその発展系ともいえる最新機能「AI Mode(AIモード)」をご紹介します。同機能は「Google自身が検索を破壊した」とまで言われ、米国全国紙や主要ニュースでも報じられるほど大きな話題を呼びました。米国では2025年6月13日頃からログイン不要で全ユーザーが利用できるようになっており、日本でもそう遠くないうちに実装されると見られています(2025年6月時点、日本では未実装)。 また、AI Modeの登場は単なる検索流入の減少にとどまらず、SEO戦略そのものにも変化をもたらす可能性があります。このタイミングでしっかりとキャッチアップし、AI時代におけるSEOの見通しを立てていきましょう。 「AI Mode」が初めて発表さ
新卒入社時点から描いていた、独立前提のキャリアパス MarkeZine:はじめに、このタイミングでリクルートを退職された理由を教えてください。 金井:実は3年前の2022年に、立ち上げからグロースまで関わっていた採用管理サービス「Airワーク」の仕事がひと区切りついたので、あとはメンバーに託してリクルートを卒業しようと考えていたんです。 しかし、重要ポジションで退任者が多く発生したため、組織を立て直す必要がありました。また、Indeedとの共同プロジェクト「Indeed Plus」の立ち上げもあったため、それが終わるまではしっかりと役割を果たしたいと思っていました。直近2~3年、特に尽力していたのがそのリクルートとIndeedの合併プロジェクトです。言語や前提が異なるなかでの事業再編は苦労も多かったですが、めったにできない経験を最後にさせてもらいました。再編したこのタイミングで、卒業をしま
検索体験のパラダイムシフト 現代の検索体験は、ユーザーがキーワードを打ち込んで情報を拾う“聞く”型から、AIがユーザーの意図を先回りし提案まで行う“任せる”型へと進化しつつある。 かつて検索は「キーワード入力 → 検索エンジン → リンクの一覧 → ユーザーの選択」という構造であり、意思決定の主導権はすべてユーザーにあった。これは「検索者が能動的に選ぶ」というモデルであり、ユーザーはリンクを開き、比較し、判断するというプロセスに多くの時間を費やしていた。 しかし現在、大規模言語モデル(LLM)を搭載するChatGPT、Perplexity、Google Gemini などのAIエージェントは、ユーザーが意図を示すだけで、検索→収集→要約→提案→意思決定支援を自律的に完結できるよう進化している。たとえばGeminiは、Instagram Reelsの映像から場所やホテル情報をAIが認識し、「
みなさんには、長く利用している商品やサービスがありますか? ある場合、なぜ利用を続けているのでしょうか。強い思い入れがある場合もあれば、なんとなく使い続けていることもあるかと思います。企業の立場で考えると、業績を上げ続けるためには、なによりもユーザーの「心理」に的確に働きかけ、理想的な「行動」をとってもらうことが重要です。たとえば「長く利用してもらう」ことを目指す場合、どのような心理的変化を引き起こせば実現しやすくなるでしょうか? また、その心理的変化を促すために、どのような働きかけや取り組みが効果的でしょうか。今回は、8業界(n=8,537)の自主企画調査の結果からアパレル業界(n=1,086)を取り上げ、「長く利用する意向にはどのような感情が影響しており、その感情はどのようなユーザー体験から生まれるのか」を数値的に紐解き、疑問にアプローチした分析事例をご紹介します。 「選ばれる理由」の
NTTドコモは2025年6月16日、デジタルマーケティング支援事業を手がけるCARTA HOLDINGS(以下、CARTA HD)の普通株式等に対する公開買付けを実施し、同社を連結子会社化すると発表した。同時に、CARTA HDの親会社である電通グループとの3社による業務資本提携契約を締結する。 「Single ID Marketing」でデータ分断を解決 ドコモは2021年10月に発表した「新ドコモグループ中期戦略」で、顧客基盤データやパートナーデータを活用した「Single ID×フルファネル」でのソリューション提供により、企業のマーケティングDXを支援する方針を打ち出している。今回の公開買付けは、この戦略の一環として位置づけられる。 ドコモは今回の公開買付けを通じて、CARTA HDのアドプラットフォームや運用型テレビなどの広告プロダクト開発力や配信先メディアとリレーションシップを持
空白の30年。マーケター、何してたの? ――すがけんさんの先日のポストには、驚きつつも危機感を覚えました。まず、率直にこのポストを投稿された背景をお伺いできますか。 では、私がこのように考えた背景となるファクトからお伝えしますね。 まず、日本はここ30年間、GDPがほとんど伸びていないんですよ。加えて、企業の時価総額もほぼ横ばいの状況。30年前は世界の時価総額ランキングトップ10に日本企業が4社ランクインしていたのに、今は上位からすっかり消えてしまいました。生産力も上がっていなければ、企業価値も上がっていない。これでは給料が上がらないのも当然ですよね。実際にここ20年で、所得の中央値が500万円台から400万円台にまで下がってしまっているのが現状です。 株式会社Moonshot 代表取締役 CEO 菅原 健一氏(すがけんさん) 企業の10倍成長のためのアドバイザー。社会や企業内に存在する「
検索はもはや「クリック」されない ChatGPTやGemini、Perplexityといった生成AIの登場によって、検索という行為は大きく変貌している。ユーザーは「知りたいこと」を検索してページを渡り歩くのではなく、「AIから答えを直接得る」体験を好むようになった。たとえば、BtoBのマーケティング担当者が「おすすめの営業支援ツール」を探す際、検索結果ページを比較するよりも、AIに最適な候補を直接聞いたほうが速く確実だと感じる。 この変化は、ユーザーの利便性を大きく高める一方で、従来のWebメディアや企業にとっては流入減少というリスクをともなう。2024年にはGoogleも「AI Overview」という機能を本格導入し、検索結果の要約やAIによる回答をデフォルト表示するようになった。ユーザーがクリックする前に答えを得て離脱することで、コンテンツ制作者側はリーチ機会を失うことになる。 また
「データドリブン」から「エージェントドリブン」に MarkeZine編集部(以下、MZ):まず、AIエージェントとは何か、従来の生成AIとは何が違うのか、基礎的なところから教えてください。 山崎:「生成AI」は、幅広い分野の「作業」や「質問」に対して、自然言語で対応するもの。一方AIエージェントは、単なる「チャット」の応答ではなく、複雑なタスクについて、目的達成のための手段を自律的に考え、そのための様々な作業を人間の指示なしで取捨選択し、実行していくことができる高度なシステムのことを指します。 AIエージェントのさらに先に、異なる目的や役割をもつ複数のエージェントが対話しながら人間を支援する「マルチエージェント」という概念もあります。これらのエージェントは、単にタスクを自動化するのではなく、プロセス全体において必要なアクションを考案し、相互に働きかけながら業務をこなします。AIエージェント
そもそも広告単体の効果は大して大きくない 昨今、「広告しなくても売上があまり減らないのに、なぜ継続する必要があるのか」という広告不要論が再燃しています。特にマス広告は、デジタルメディアやSNSとの比較においてROIの不透明さが指摘されがちです。 しかし、そうした主張は単に「広告本来の役割とブランド成長の関係性」を理解していない自己流の(あるいは一時的な)解釈に過ぎないこともあります(実際、TVCMを止めて売上が増えたとされるブランドも現在は普通にTVCMを打っていたりします)。 本稿ではその辺りの事情を明らかにしつつ、「カテゴリーユーザーへ広く定期的にリーチする」というマス広告の本質を深掘りしていきます。 実は、マス広告単体での短期効果が小さいことは何十年も前から知られています。この分野にはいくつか有名なメタ研究があり、広告を1%増やしたときに売上が何%増えるかという比率を計算すると、短期
インサイトは購買欲求のスイッチ インサイト・ピークス 代表取締役社長/アサヒビール インサイト顧問 米田恵美子氏 米田:はじめに、新ブランド開発部とはどのような部署なのかご紹介ください。 西村:3年前に新商品開発部から名称が変わり、生まれた部署です。「新商品」というとパッケージや中身を連想しがちですが、ブランドまでしっかり作り込むことを意識して名称変更しました。 アサヒビール 新ブランド開発部 部長 西村壮一郎氏 2001年入社。6年間の営業を経て、14年ほど国内、国外のマーケティングを担当し、その後新ブランド開発部が新設されるとともに部長に着任 米田:(元P&Gの)松山さんがアサヒビールに来られた時に力を入れられたポイントの一つがブランディングでしたよね。良い製品を売るのではなく、お客様にとって意味のある価値(=ブランド)を届けるということを強く意識していくようになりました。 西村:新ブ
イオン生活圏の入り口「iAEON」アプリとは? 国内外に約300の企業、全国で約1万6,000店舗を展開するイオングループは「デジタルシフト」を成長戦略の柱と位置づけ、DXを推進している。取り組みをリードするイオンスマートテクノロジー 取締役副社長の関矢 充氏は次のように語る。 イオンスマートテクノロジー株式会社 取締役副社長 関矢 充氏 「イオンスマートテクノロジーの役割は、デジタルで社会を変革し、すべての人に最適なサービスを届けることです。私たちはデジタルを単なる利便性や効率性向上の手段だけではなく、お客さまの暮らしや地域の豊かさ、そして従業員にとっても、働きやすさを提供するものとして活用したいと考えています」(関矢氏) そんな同社が2021年9月にリリースしたのが、「イオン生活圏」としてイオングループが展開するすべてのサービスをシームレスにつなげる「iAEON(アイイオン)」アプリだ
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