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ブラックフライデー
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山中千尋のメジャーデビュー20周年を記念したベストアルバム『Best 2005 - 2025』と最新アルバム『Ooh-La-La』がリリースされた。 ベスト盤の発表を機に、山中千尋の20年を過去作を聴き返しながら振り返ってみた。あらためて気づかされるのは、彼女がきわめてユニークな音楽家であるということだ。「バークリー音大卒業のストレートアヘッドなジャズ・ピアニスト」という印象があるかもしれないが、実際にはオリジナル曲における作編曲のアプローチは独自性に富み、カバーの選曲もジャズの常識にとらわれていない。そのカバー遍歴にフォーカスして、本人に話を聞いたのが以下のインタビューである。 ジャズが好きな方なら、ジェリ・アレン、イリアーヌ・イリアス、ミシェル・ペトルチアーニ、スティーヴ・スワロウ、ラーシュ・ヤンソンという幅広い顔ぶれから守備範囲の広さを察することができるだろう。さらに山中の特異性は、
カリフォルニア州オーシャンビーチ出身のナタリー・ルーによるソロプロジェクト、Wisp(ウィスプ)の来日公演が2026年1月19日に渋谷WWW Xで開催される。デビューアルバム『If Not Winter』が世界中で話題に。シューゲイザーの轟音と内省的かつ浮遊感のあるサウンドを持ち味とし、システム・オブ・ア・ダウンやデフトーンズのサポートアクトにも抜擢された大型新人は、さらなる飛躍に向けて歩み出している。 水曜日の午後、ノースハリウッド。翌朝には世界ツアーへ旅立つWispことナタリー・ルーには、残されたリハーサル時間があと数時間しかない。賑やかなコーヒーショップが併設された、外観は地味なリハーサルスタジオの一室で、21歳のシンガーソングライターは正直に打ち明ける──いま、とても緊張しているのだと。 「もっと練習したいですね」と、8月の容赦ない暑さのなかでナタリーは言う。「まだ一度もライブでや
ザ・ローリング・ストーンズが1976年にリリースした『Black and Blue』の拡張版がリリースされた。ジェフ・ベックやハーヴェイ・マンデルとのオーディション・ジャム、レア音源やライブ録音/映像を収めたリイシューは、バンドにとって重要な転換点を360度から捉える内容となっている。 1975年、ローリング・ストーンズがジェフ・ベックと録音した「Blues Jam」──今回のスーパー・デラックス版『Black and Blue』に収録されたボーナストラック──の奥深くに、特筆すべき瞬間がある。それまでハウリン・ウルフやB.B.キング、キース・リチャーズ風のブルースを弾いていたベックが、突如としてギターのボリュームノブを操り、まるで泣き声をあげる猫のような音色をつくりはじめるのだ。それは超越的で、ストーンズが録音してきたどんなものとも違って聴こえる。そしてそれこそが、数カ月前にソングライテ
現在公開中の劇場版『ゾンビランドサガ ゆめぎんがパラダイス』。フランシュシュの新曲4曲――どれが主題歌かと問われれば、「どれもが物語の中で歌われる曲」と佐藤宏次は語る。シチュエーションに沿ったテレビシリーズから一歩踏み出し、より自由にコンセプトを突き詰めた楽曲たち。「またたく宇宙(ソラ)に憧れて」や80’sスタイルのハードロック「今日が歴史に残るなら」、高揚感あふれる「悠久ネバーダイ」など、多彩なアプローチが並ぶ。一方、劇伴を担った高梨康治は、宇宙人との戦闘シーンを貫くモチーフを起点に、バンドマンとしての感覚を活かしたサウンドを構築。挿入歌と劇伴――それぞれ異なる時間軸で作られた音が交差することで、作品に独特の現実味を与えている。試写で「泣いてしまった」と語る二人が明かす、音楽が支える集大成のステージ。 ※この記事は現在発売中の雑誌「Rolling Stone Japan vol.32」に
HOME 【追悼ディアンジェロ】クエストラヴ特別寄稿──ブラック・ジーニアスに捧ぐ(a.k.a. D’Angelo Lives!) 10月14日にこの世を去ったディアンジェロ。友人でありコラボレーターであるクエストラヴが、彼に捧げる追悼文をRolling Stone誌に特別寄稿。「僕にとってディアンジェロは、ブラック・ミュージックにおける最後の“純粋なアーティスト”のひとりだった」 * 10月14日、火曜日の朝、電話の音で目が覚めた。その時間にかかってくる電話で、良い知らせだったためしはない。僕は覚悟していた。わかっていた……けれど、本当にはわかっていなかった。 はあ……でも、わかっていた。 僕は片足をディアンジェロの闘いのそばに踏みとどまらせながら、もう片方の足は「アミール、もう彼を“家”に帰してやる頃かもしれない」と囁く靴の中にあった。スローン・ケタリング病院での最後の会話で、Dがこう
アメリカでは(おそらく日本でも)他人の恋愛失敗談をネタにして承認欲求を満たす人が増えている。その風潮が、若者たちの恋愛感情を凍りつかせているようだ。 数カ月前の金曜の夜、高校の友人たちとFaceTimeで話していた。みんなそれぞれ自分の部屋でくつろぎながら、Snapchatをスクロールしていたときのことだ。ある友人が、姉妹校の女子を知っていると言い出した。彼はその子にメッセージを送りたがっていたが、親指が止まったままだった。「送れよ」と別の友人が言った。「でもしくじったらスクショされるぞ」──結局、彼は送らなかった。 僕(筆者)が6月に卒業したシカゴの高校では、プライベートな瞬間でも公共の場でも、常にスマホが持ち出されていた。授業中に誰かがプレゼンで噛んだときも、カフェテリアで誰かがつまずいたときも、すぐにカメラが向けられる。ほとんどの動画は、数十人程度の友人たちのプライベートなSnapc
Photo illustration by Matthew Cooley. Images in illustration by Adobe Stock, 1. 「未成年の結婚を禁止すべき」という広く共有された認識があるにもかかわらず、アメリカの過半数の州では依然としてこの慣行が認められている。 チャイルド・ブライド(未成年者の花嫁)は、多くのアメリカ人にとってまったく縁のない光景だ。未成年の結婚は、多くの場合「海外の問題」として、あるいは孤立した不満分子のカルト指導者が行う忌まわしい恐怖の行為として受け止められている。そうした出来事はやがて、友人たちと嘆きながら観る実録犯罪ドキュメンタリーへと変わるものだと思われている。 しかし、児童婚はアメリカの大多数の州で依然として合法であり、その廃止は非常に困難である。 現在、34の州では18歳未満の子どもが結婚することを認めており、たいていは親また
レディオヘッド(Radiohead)がまもなく行われるヨーロッパツアーや、バンドとして約10年の休止期間が必要だった理由について、久々の全員インタビューで明かした。 活動休止と再始動の背景 「たぶん、少し歯車が噛み合わなくなってしまったんだ。だから止まらざるを得なかった」と、トム・ヨークは英紙『The Times』に語っている。彼によれば、2016年のアルバム『A Moon Shaped Pool』を携えたツアーの終盤はこうだったという。「いろんな要素が重なっていた。ライヴ自体は最高だったけど、“このまま崖から落ちる前に、一度立ち止まろう”って感じだったんだ」 ヨークはさらにこう続ける。「どのみち、僕は止まる必要があった。というのも、自分に“喪に服す時間”を与えていなかったから」と語り、2016年にがんで亡くなった元パートナーであり、子どもたちの母親でもあるレイチェル・オーウェンの死につい
ついにオアシス16年ぶりの来日公演が実現。10月25日(土)東京ドーム公演初日には約5万人の観客が集まった。当日の模様を荒野政寿(シンコーミュージック)が振り返る。 洋楽ファンにとって東京ドームは夢を叶え続けてくれた特別な場所だ。困難と思われていたローリング・ストーンズの初来日公演も、大麻所持事件の影響で一時は絶望視されていたポール・マッカートニーのソロ初来日公演も(共に1990年)、ここで実現したこと。先日他界したエース・フレーリーを含むオリジナルメンバーで奇跡的に再結成、1997年に実現したKISSの東京ドーム公演を記憶している人も多いだろう。どんなに観たくても観られないとあきらめかけていたレジェンドたちのライブを体験することができた、そういう会場なのだ。そして昨夜、「観たくても観られない」が、またひとつ東京ドームで解決した。2009年、突然の解散から16年かかって、まさかの復活を遂げ
マカヤ・マクレイヴン(Makaya McCraven)の音楽は、端的に言えば「録音したさまざまな音源に徹底した編集を施し、楽曲として再構築する」というものだ。彼の名を一躍知らしめた『In the Moment』(2015年)、英米4都市で録音された『Universal Beings』(2018年)、そして前作『In These Times』(2022年)のいずれも、基本的な手法は同じ。だが、その4作品がまったく異なるサウンドに仕上がっているところに非凡さがある。 最新作『Off the Record』では、複数都市で録音された音源を素材とし、4作のEPとして発表したうえで、最終的にひとつのアルバムにまとめるという構成を取っている。その方法論こそ『Universal Beings』と近いが、やはりサウンドはどの過去作ともまるで違う。 興味深いのは、10年前の『In the Moment』に通
HOME オアシスが日本の音楽シーンに与えた影響──ブリグリ、アジカン、[Alexandros]、マカロニえんぴつ、Vaundyまで いよいよ目前に迫ったオアシス16年ぶりの来日公演。なぜ今回のワールドツアーが日本でここまで話題になっているのかというと、それは単に世界的なロックバンドが待望の復活を果たしたからというだけでなく、国内の音楽シーンへの多大なる影響が背景にあると言っていいだろう。本稿では1990年代・2000年代・2010年代・2020年代と時代を区切って、オアシスに影響を受けた日本のアーティストや楽曲を具体的に紹介しながら、その受容の歴史を追ってみたい。 本記事で言及されている楽曲をまとめたプレイリスト 90’s 衝撃のデビュー作となった『Definitely Maybe』(1994年)、バンドを世界のトップへと押し上げた『(What’s the Story) Morning
HOME 現代ブラジル音楽の代弁者・フーベルが語る円環のようなキャリア、ジョアン・ジルベルトへの憧憬、そして美しき最新作 ブラジル音楽の豊かな歴史を引き受け、モダンな形で昇華する作家として、フーベル(Rubel)は現在最も重要なシンガーソングライターのひとりと言えるだろう。 ボン・イヴェールをはじめとしたUSフォークから影響を受けた素朴な歌唱で名声を得たデビュー作『Pearl』からはじまり、オルタナティブR&Bとブラジリアン・ヒップホップをベッドルーム由来のなだらかな音響で統合した『Casas』、そしてサンバやフォホーからバイレ・ファンキに至るまでブラジル音楽の100年を長大なボリュームで編み上げた『As Palavras Vol.1 & 2』と、これまでに発表した3枚のオリジナル・アルバムはどれもキャラクターが立っている。ボブ・ディランやスフィアン・スティーヴンスがアイロニカルな視線を合
アメリカの伝説的ベーシスト、アンソニー・ジャクソン(Anthony Jackson)が10月19日、73歳で死去した。エレクトリックベースの可能性を拡張した革新的奏者であり、6弦ベース「コントラバス・ギター」の考案者としても知られる。 訃報は愛用楽器の製作元Fodera Guitars社および長年の共演者アル・ディ・メオラにより公表された。Fodera社は「最も先見的で影響力のあるベーシストの一人、彼のレガシーは、FoderaのDNAに刻み込まれています。あなたの貢献によって、ベースの世界は永遠に豊かになりました」、アル・ディ・メオラは「6弦コントラバス・ギターにおける彼の天才的な創造力は、現代音楽の形を根本から変えました。晩年のアンソニーを愛情深く支えてくださったダネット・アルベッタさんに、心から感謝申し上げます。あなたの献身が、彼の人生に確かな変化をもたらしました」とそれぞれ追悼してい
リンプ・ビズキットの創設メンバーでベーシストのサム・リヴァースが、現地時間18日(土)に死去した。享年48歳。バンドがSNS上で訃報を発表した。 「今日、僕たちは兄弟を、バンドメイトを、心臓を失った」リンプ・ビズキットはインスタグラムにリヴァースの写真とともにこう投稿した。「サム・リヴァースは単なるベーシストではなかった。彼は純粋な魔法そのものだった。あらゆる曲の下に流れる鼓動であり、混沌の中の静けさであり、音の中の魂だった」 リヴァースはフレッド・ダーストとフロリダ州ジャクソンビルで出会い、短命に終わったバンド、マラカイ・セイジで共に活動。その後1994年、バンドが解散すると、リヴァースはいとこのドラマー、ジョン・オットと共にダーストとリンプ・ビズキットを結成した。ほどなくしてギタリストのウェス・ボーランドが加入し、後にDJリーサルを加えたオリジナルの布陣が完成する。 1997年にデビュ
ロックバンド、KISS(キッス)のオリジナル・ギタリストであり、“スペースマン”の異名で知られたエース・フレーリーが、10月17日(現地時間)にニュージャージー州モリスタウンで死去した。享年74。家族は「愛と祈りに包まれながら旅立った」との声明を発表し、「彼の笑い声と優しさを永遠に忘れない」と追悼した。死因は公表されていないが、9月末に軽い転倒事故を起こして入院し、その後の公演をキャンセルしていた。 【写真を見る】歴代最高のメタルアルバム100選 ロックにすべてを捧げた少年時代 1951年、ニューヨーク・ブロンクスに生まれたフレーリーは、若い頃はスポーツと音楽のどちらに進むか迷っていた。しかしフットボールで手を痛めた経験から「俺の手はギターのためにある」と悟り、音楽の道へ。16歳で観たザ・フーとクリームのライブが決定的な転機となり、「劇的なロックに衝撃を受けた」と語っている。 KISSとの
レバノン出身のトランペッター、イブラヒム・マーロフ(Ibrahim Maalouf)が最新作『Trumpets of Michel-Ange』を携え、10月19日〜21日にかけてブルーノート東京で再び来日公演を行なう。 彼の代名詞は、アラブ音楽固有の響きを表現するために開発された「四分音(クォーター・トーン)トランペット」。マーロフはトランペット奏者としての高い技術に加え、この個性的な楽器を駆使することで誰にもまねできない唯一無二の音楽を生み出した。 【まもなく来日】 ???????????????????????????????????????????????????????? イブラヒム・マーロフが愛用する「クォータートーン・トランペット」の特徴をみずから解説#IbrahimMaalouf ▼来日公演の詳細はこちらhttps://t.co/Ml2wKiUrTi pic.twitter.
ネオソウルの象徴的アーティスト、ディアンジェロが現地時間10月14日に膵臓がんで亡くなった。享年51。 家族は声明で次のように発表した。「私たちの家族の輝く星が、この世でその光を静かに閉じました……がんとの長く勇敢な闘いの末、マイケル・ディアンジェロ・アーチャー(世界中のファンからディアンジェロとして知られる)が2025年10月14日、天へと召されました。私たちは彼が残してくれたのが愛しい思い出だけであることを悲しんでいますが、心を揺さぶる音楽という永遠の遺産を残してくれたことに感謝しています。この困難な時期、どうか私たちのプライバシーを尊重していただくとともに、彼が世界に遺した歌の贈り物を称えながら、その死を悼む場に皆さんも加わっていただければ幸いです」 DJプレミアはX(旧Twitter)で追悼の言葉を投稿した。「ディアンジェロの訃報、あまりにも悲しい。たくさんの素晴らしい時間を一緒に
ロストプロフェッツ(Lostprophets)のボーカリスト、イアン・ワトキンス(Ian Watkins)が、現地時間10月11日に刑務所内で襲撃され死亡したことが確認された。享年48歳。ワトキンスは、幼い子どもや乳児を含む一連の凶悪な性的犯罪で有罪判決を受け、ウェスト・ヨークシャー州ウェイクフィールド刑務所(HMP Wakefield)で29年の刑に服していた。 ウェスト・ヨークシャー警察はワトキンスの死亡を確認し、殺人・重大事件捜査班の刑事が捜査を開始したと発表。刑務官が土曜朝に受刑者への暴行の通報を受けて現場に駆けつけたところ、ワトキンスはすでに死亡していたという。 襲撃の詳細はまだ明らかにされていないが、Sky Newsは彼が刃物で襲われたと報じ、The Sunは、朝に房の鍵が開けられた直後に喉を切られたと伝えている。 ワトキンスは以前にも、2023年8月に3人の受刑者から襲撃され
パティ・スミス(Patti Smith)が1975年に発表したデビュー・アルバム『ホーセス(Horses)』の50周年記念エディションがCDとヴァイナルで10月10日(金)にリリースされる(ヴァイナルは輸入盤のみ)。Disc1ではオリジナル・アルバムの音源を1/4インチのオリジナル・マスター・テープからリマスタリング、Disc2には未発表のアウトテイク/レア楽曲など計9曲を収録。彼女に深い思い入れをもつ『ele-king』編集長の野田努に、本作が永遠の名盤となった理由を執筆してもらった。 Photo by Frank Stefanko 来るべき激流への前触れ、あるいはロックの神話化 ──野田 努 アートワークに刻まれた「永遠の昨日」 歴史の分水嶺となったロックの真の名盤に分類されうる作品には共通点がある。それは評価が多義に開かれ、単一的(モノスティック)な価値観に還元されてはならないという
アルージ・アフタブ(Arooj Aftab)が10月28日(火)・29日(水)にビルボードライブ東京で初来日公演を開催する。彼女は自身の出自であるパキスタンと南アジアの音楽に、ジャズ、アンビエントなど多様なジャンルを融合したサウンドで世界にその名を知らしめた。2022年にはパキスタン出身として史上初のグラミー受賞者となり、2024年の最新作『Night Reign』も高く評価されている。ここでは彼女にパキスタンの伝統音楽との関係や距離感について話を聞いた。彼女の新しさは、そのルーツに対する真摯な姿勢から来ていると思ったからだ。 ラホールで出会った故郷の音楽 ―1985年生まれのあなたが育ったパキスタンのラホールは、どんな街だったのでしょうか。 アルージ:90年代のラホールは、美しくてロマンティックで……まるでタイムカプセルに時間が封じ込められたような場所だった。そんな街で、11歳から高校を
石若駿が率いるバンドと豪華ボーカリストとの共演が話題を呼んだ、昨年6月のライブ企画「JAZZ NOT ONLY JAZZ」。その続編「JAZZ NOT ONLY JAZZ II」が、今年9月に会場を東京国際フォーラムに移して開催された。2年連続で出演したアイナ・ジ・エンドに加え、今年は岡村靖幸、KID FRESINO、椎名林檎、中村佳穂といった錚々たる顔ぶれが集結。華やかなステージに会場は大きく沸いた(※当日のレポはこちら)。 このイベントでは、石若駿とジャズ界のビッグネームとの共演も大きな目玉となっている。前回は上原ひろみとの初ライブ演奏が実現し、壮絶なセッションは日本のジャズ史に刻まれるべき一幕となった。そして今回は、アメリカからロバート・グラスパーが登場。ジャズとヒップホップ/R&Bを融合させ、21世紀のブラックミュージックを提示したグラスパーは、石若駿にとっても憧れの存在だ。学生時
ダニー・マッキャスリン(Donny McCaslin)の最新アルバム『Lullaby for the Lost』は、ジャズ・サックス奏者がロックからの影響を自らの表現に昇華したアルバムの中でも際立ったものになった。 2012年の『Casting For Gravity』でエレクトロニック・ミュージックの要素を取り込み始め、そこから2015年にリリースされたデヴィッド・ボウイの遺作『★』に参加することに。以降、ボウイから得たものを解釈し、自身の音楽に反映させるために多様な挑戦を積み重ねてきた。その成果は2023年の『I Want More』で結実したように感じていたが、『Lullaby for the Lost』はそこからさらに一歩踏み込んでいる。 僕(柳樂光隆)はダニーの試みを、非常に重要な営みだと考えている。ジャズと他ジャンルの融合が語られるとき、特にエレクトロニックなサウンドやエフェク
10月に入り、ついにオアシス来日公演へのカウントダウンが始まった。再結成ツアーは世界各地でチケットが完売。2009年の解散から16年を経て実現した奇跡のリユニオンは、単なる懐古ではなく、Z世代をも巻き込んだ“社会現象”となっている。2025年の今、なぜギャラガー兄弟はここまで求められるのか。今年8月に刊行された『オアシス―不滅のロック物語―』の著者で音楽ライターの小川智宏に、その理由を読み解いてもらった。 『オアシス―不滅のロック物語―』(ハヤカワ新書) 30年の時を経て「ロックの衰退」や「洋楽離れ」が語られる今なお、なぜ彼らの曲は人々を魅了し続けるのか。ブリティッシュ・ロックの系譜、名曲の誕生秘話、ギャラガー兄弟のカリスマ性、衝撃の解散と再結成——オアシスが歩んだ歴史をたどりながら、ロックという音楽文化と、彼らが体現してきたロックスターという存在が放つ永久不変の魅力に迫る。 >>>詳細は
国もジャンルも飛び越えて、新録と発掘音源をボーダーレスに届けながら多様な音楽を紹介してきたLuaka Bop。ブラジルや中南米、アフリカの音楽、さらにはスピリチュアル・ジャズから話題のアニー&ザ・コールドウェルズまで送り出してきたレーベルの先進性を、ジャズ評論家の柳樂光隆が解説する。 雑誌の特集やディスクガイドのように たしか小山田圭吾(Cornelius)の勧めだったと思うが、大学生だった2001年にシュギー・オーティス『Inspiration Information』のCDを購入した。これが自分にとって最初のLuaka Bop作品だった。 『Inspiration Information』Luaka Bopリリース時のジャケット写真 同じ頃、僕はブラジル音楽にのめり込み、カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルといったトロピカリア周辺や、ミルトン・ナシメントらミナスの人脈にも手を伸ばし
ノラ・ジョーンズ(Norah Jones)が再び日本にやってくる。Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPANへの出演(9月27日)に加え、日本武道館(9月24日)と大阪城ホール(9月25日)にて単独公演も開催される。 今回注目すべき、彼女が2024年の最新アルバム『Visions』を携えて、特別なパフォーマンスを聞かせてくれること。サーシャ・ドブソン、サミ・スティーヴンスという二人のボーカリストを従えた新編成が、日本で初お披露目される。今回の来日に合わせて、最新ライブ音源を追加した日本企画盤『Visions(Japanese Edition)』がリリースされた。大胆な実験が行われたスタジオ録音がライブでどう再現されるのかを確認することで、ノラの音楽性が立体的に浮かび上がる。 さらに直近では、ジョン・レジェンドとコラボレーションした新曲「Summertime Blue」
カッサ・オーバーオールは引く手数多なジャズ・ドラマーと、野心的なプロデューサーという二つの顔を併せ持つ。名門〈Warp〉から発表した2023年の前作『ANIMALS』では、ジャズの生演奏とプロダクションを融合させたスタイルで話題を集めた。 そんなカッサの最新作『CREAM』は、ジョン・コルトレーンやマイルス・デイヴィスを思わせるモダンジャズ黄金期のスタイルを踏襲した、生粋のアコースティックなジャズ・アルバムだ。もともとカッサはテリ・リン・キャリントンやジェリ・アレンといった超一流に起用される若手の注目株として台頭し、自身の作品にもサリヴァン・フォートナーやアーロン・パークス、ヴィジェイ・アイヤーといったジャズ・シーンのトップランナーが名を連ねてきた。今作はカッサがジャズ・ドラマーとしての自身を提示した初の作品とも言えるだろうか。 ただし、今作では1曲を除き、90年代ヒップホップ大名曲のカバ
テデスキ・トラックス・バンドが、デレク・トラックスの名の由来とも関係があるデレク&ザ・ドミノスの傑作『Layla and Other Assorted Love Songs』に真っ向から挑んだライブ盤『Layla Revisited (Live at Lockn')』を2021年にリリースした際は、ここまでやるか!という気迫に満ちた演奏に度肝を抜かれたものだが。彼らの最新作はその「Revisited」シリーズ第二弾、ジョー・コッカーがレオン・ラッセルに音楽監督を委ねた実況録音盤『Mad Dogs & Englishmen』(1970年)を再訪するという、驚愕のライブアルバムである。英米の精鋭同士が手を組んで乗り出した1970年の「マッド・ドッグス」ツアーは20名超の大所帯バンドによる演奏旅行とあって、メンバー間の確執など数々の伝説も生み、長年ミュージシャンたちの間で語り種となっていた。 2
ゴリラズ(Gorillaz)が最新アルバム『The Mountain』を2026年3月20日にリリースすると発表した。音楽業界の常識を塗り替えたバーチャルバンドの結成25周年、そんな彼らの現在地を示す新作『The Mountain』。ゴリラズの歩みと未来を語る、デーモン・アルバーンとジェイミー・ヒューレットの二本立てインタビュー。 ※新作インタビューはこちら 1. ゴリラズが25年かけて塗り替えたもの 25周年という節目に臨むのは容易なことではない。「懐古的な世界にあまり長く浸りたくない」と語る、ゴリラズ共同創設者/ビジュアル・アーティストのジェイミー・ヒューレットのようなクリエイターにとってはなおさらだ。だが、過去を拒もうとする者でさえ、少しばかり目頭が熱くなるのを抑えられないようだ。 「自分の言葉を引用するのもなんだけど、『Modern Life is Rubbish(現代の生活はくだ
HOME 坂本慎太郎やクレイロとも共鳴、El Michels Affairが語る最高峰プロデューサーのアナログ主義 リオン・マイケルズ(Leon Michels)は今やトッププロデューサーとして知られる存在だ。ヴィンテージ機材やアナログ録音を駆使し、60〜70年代のソウルやファンクの質感を忠実に再現しながら、ヒップホップ的な感性で現代的なセンスを加える彼の手腕は、クレイロ、カリ・ウチス、ノラ・ジョーンズといったビッグアーティストの作品を通じて広く注目を集めてきた。 プロデューサーとして多忙を極める一方で、彼はソウル/ファンクの人気レーベル Big Crown Records を運営し、7インチのリリースを積極的に展開。さらに、自身のプロジェクトであるエル・マイケルズ・アフェアー(El Michels Affair)としても精力的に活動を続けている。2023年に発表したザ・ルーツのブラック・
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