インカ帝国の「蛇の山」、5200個もの謎の穴の正体とは、新説

ドローンの最新研究で判明か、巨大な蛇のような「モンテ・シエルぺ」、ペルー

2025.11.12
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ドローンが空から撮影した「蛇の穴」ことモンテ・シエルペ。(J.L. BONGERS)
ドローンが空から撮影した「蛇の穴」ことモンテ・シエルペ。(J.L. BONGERS)
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 ペルーの岩がちな尾根に沿って、5200個ほどの穴がびっしりと細長い帯状に並ぶ場所がある。まるで、巨大なヘビが山を登っているかのように見えるため、「モンテ・シエルペ(蛇の山)」と呼ばれるこの穴の集まりは、1931年にペルーを訪れた米国の調査団によって再発見されたものだが、長年考古学者や陰謀論者らを当惑させてきた。

 約1000年前の人々がなぜこのような穴を掘ったのか、誰も知らなかった。10年以上前に初めてこれを目にしたとき、他では見たことのない光景に考古学者のチャールズ・スタニッシュ氏は「非常に興味をそそられました」と話す。

 現代になってこの場所が広く知られるようになったきっかけは、1933年にナショナル ジオグラフィックが初めて穴の空撮写真を公開したことだった。(参考記事:「古代インカ都市マチュピチュ、知られざる10の秘密」

 スタニッシュ氏によると、それ以来この奇妙な構造物の正体について、古代宇宙飛行士説やアトランティス伝説との関連など、あらゆる疑似考古学的学説が飛び交ってきた。(参考記事:「奇妙な石の建造物を76基も発見、驚きの正体とは、アンデス山脈」

 しかし、現在米サウスフロリダ大学に在籍するスタニッシュ氏と研究チームのおかげで、ついにその謎が解き明かされたかもしれない。

次ページ:数を記録する道具「キープ」との共通点がドローンで判明

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