ベッカム氏が「サー・デイヴィッド」に、英国王誕生日の叙勲で 作家イシグロ氏にも勲章

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エマ・ソーンダース文化記者
英ウィンザー城で4日、チャールズ国王の誕生日を記念する叙勲の式典が行われ、元サッカー・イングランド代表のスター選手デイヴィッド・ベッカム氏(50)が大英帝国勲章「ナイト」を受勲し、「サー」の称号が与えられた。式典に参加したサー・デイヴィッドは、チャールズ国王から勲章を受けたことについて「これまでで最も誇らしい瞬間だ」と述べた。
この日はほかにも、ノーベル賞受賞作家のサー・カズオ・イシグロが、大英帝国勲章のコンパニオン・オブ・オナー勲章を、ミュージカル俳優として知られるエレイン・ペイジ氏が「デイム」の称号を受けた。
サー・デイヴィッドやデイム・エレインの叙勲は、今年6月に発表された。同時に、俳優のギャリー・オールドマン氏やロックバンド「ザ・フー」のボーカリスト、ロジャー・ダルトリー氏がナイトとなると発表された。サー・ギャリーは9月末に叙勲式に臨んでいる。

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スポーツや慈善活動への貢献が称えられたサー・デイヴィッドは、「レディ・ベッカム」となった妻ヴィクトリア・ベッカム氏と、両親のテッド氏とサンドラ氏と共に式典に臨んだ。
サー・デイヴィッドはこの日、ファッションデザイナーのレディ・ベッカムが作ったグレーの三つぞろえのスーツを着用していた。
「私は、若い頃の(国王の)モーニングスーツ姿の古い写真を見て、『よし、これを着たい』と思った。それを妻に渡したところ、彼女が作ってくれた」と、サー・デイヴィッドは説明した。
「(チャールズ国王は)私のスーツにかなり感心していた。私が知る限り、(国王は)誰よりも上品な装いをする人物で、これまでも私のかなりたくさんのスタイルが影響を受けてきた。今回のこの服装も、間違いなく影響を受けている」
サー・デイヴィッドは受勲について、「これ以上誇らしいことはない。人々は、私がどれほど愛国的かを知っている。私は自分の国を愛している」と述べた。
「王室が私の家族にとってどれほど重要か、私は常々語ってきた」
「私は世界中を旅する機会に恵まれてきたが、どこでも人が私に話したがるのは、いつも我々の王室のことだ。私は誇らしい気持ちになる」
レディ・ベッカムは2017年に、ファッション業界への貢献により大英帝国勲章オフィサー(OBE、4等)を授与された。サー・デイヴィッドも、2003年にオフィサーに任命されている。
サー・デイヴィッドは、イングランド代表として115試合に出場したほか、マンチェスター・ユナイテッド、レアル・マドリード、LAギャラクシー、パリ・サンジェルマン、ACミランでもプレーし、2013年に現役を引退した。
その後は、2012年のロンドン・オリンピック(五輪)招致でも重要な役割を果たしたほか、2005年から国連児童基金(ユニセフ)の親善大使を務めている。
2024年には、チャールズ国王が皇太子時代に設立し、現在は「国王基金」となった信託基金のアンバサダーに就任。教育プログラムや若者の自然への理解を深める活動を支援している。

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今回、コンパニオン・オブ・オナー勲章を受けたサー・カズオは、「日の名残り」や「わたしを離さないで」などの著作で知られる。1989年にはブッカー賞を、2017年にはノーベル文学賞を受賞。2018年にはナイトの称号を受けた。
コンパニオン・オブ・オナー勲章は、「芸術、科学、医学、行政の分野における長期に渡る大きな貢献をした人物」に授与されるもので、受勲者は65人に限定され、名前の後にCHを付けることが許されている。
また、作家のパット・バーカー氏と、ウエスト・エンドのスター俳優ペイジ氏が「デイム」の称号を受けた。デイム・エレインは、故エリザベス女王の帽子を作っていた職人による青い羽飾りの帽子を着用し、レディ・ベッカムがデザインしたバッグを手に式典に臨んだ。
このほか、テレビ番組「ストリクトリー・カム・ダンシング」の司会などで知られるテス・デイリー氏とクラウディア・ウィンクルマン氏が、大英帝国勲章オフィサーを授与された。

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イギリスの叙勲システム(一部)
イギリスの栄典の多くは、君主の公式誕生日である6月と新年に発表され、著名人や政府職員、地域社会に貢献した一般市民の功績を称えることを目的としている。
・ガーター勲章:イングランドの最高勲章で、イギリスの王族や首相経験者、外国の国家元首などに送られる
・バス勲章:トップクラスの軍人や官僚に送られる
大英帝国勲章は5等級に分かれている
・コンパニオン・オブ・オーナー勲章(65人に限定、受勲者は名前の後にCHを付けることを許される)
・ナイトまたはデイム(騎士の爵位。受勲者はサーまたはデイムの敬称を使うことを許される)
・コマンダー(CBE、司令官)
・オフィサー(OBE、将校)
・メンバー(MBE、団員)
このほか、文化部門で活躍した人に送られる大英帝国メダル(BEM)、外交官などに送られる聖マイケル・聖ジョージ勲章などがある。










