先日、眠れない夜に昔のことがふと脳裏に浮かんだ。
学生の時分に、部活のOBであるらしい先輩の一人が、韓国帰りに土産として高麗人参味のガムを置いて行った。
フレーバーがフレーバーだったし、あまり食事には苦言を呈さない(がマナーには厳しい)顧問が渋い顏をする程度にはウケの悪い味で、なかなか誰も寄り付かない代物だった。中には「土の味がする」などと言う人が出る始末だった(その人は土を食べたことがあったのだろうか?)。
ところが自分はセルロース由来の甘味と高麗人参由来の苦味のバランスと風味が程よく感じられて、誰も持っていかないガムを好んで貰ってしばしば噛んでいた。それでもって「高麗人参ガムもってけ」などと言われてありがたく貰っていたら「高麗人参の男」という謎の二つ名が学内に流れてしまい、しばらく可笑しな話になったものだった。大方そのガムの味が美味いか不味いかについての話に終始したと記憶しているが。
そんな頃の同級生たちが同窓会を開くと聞いて、2つ返事で行くと返した。ただ、正直な所、あまり話すことがない。
自分は何が変わったかと言えば、当時の体重が除脂肪体重になった代わりに30%近い脂肪がついたことと、自分は土から生えてきたことにされて、入る墓がなくなったことくらいか。
酒の入る場で話すには重い話になるので、あまり聞かれたくはない。「覚えているか。おれは高麗人参の男だぞ、土から生えたに決まっている」などと言って笑い飛ばすのに使おうとも思ったが、少し話のネタがニッチすぎるし笑い飛ばせるほど面白くもないのでこの案は没。
そんなことを考えながら、某ウエハース目当てにローソンを巡った帰りに買ってきた伊良コーラの缶が目に入って、原材料に高麗人参が使われているのを思い出した。
ちなみに目当ての品は売り切れていた。