10年前ったら、ソルニットの説教したがる男たちの原著が出て少ししたころか。この辺りから第四波フェミニズムが現れてきたと言われることがあって、その話だろうか。
第一波はざっくりというと市民権における性差別の解消を目指す運動だった。女性の政治参加の問題だ。第二派は参政権とかに限らず、女性の生活はその個人的な次元に及ぶまで家父長制によって形作られていると考え、家父長制からの解放を求めた。これがおそらく今知られている「フェミニズム」のイメージに近いが、時代的には1960年代から1970年代くらいに盛り上がったもの。20世紀後半の第三波になると、女性の間での不均衡が意識されるようになり、第二派の女性のイメージが白人中産階級のそれに偏っていたことへの批判とともに、交差性への言及がなされるようになり、ブラックフェミニストの活動が注目されるようになる。トランスジェンダー問題が起きるのもこの辺りで、第二派のフェミニストには白人主義、ホモフォビア、トランスフォビアなどが見られるという批判が今でも強くある。
で、第四波は第三波の交差性重視の流れは引き継ぎつつ、もっと個々人のことに目を向け、個人個人がSNSなどを通じて情報発信して連帯したり、ともにアクションをしたり、自分の経験を共有したりしながら互いをエンカレッジするというのが重要な運動だと見なされるようになった。
というのが素人の自分の理解。日本では交差性への意識があまり醸成されず、女性の間で生じる権力構造に無自覚なままでなし崩し的に第四波的なメソッドだけは輸入されたという印象があるが。