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2025.11.09 17:00

ポルノ禁止の余波──グーグルがすべてのスマートフォン利用者に新たな警告

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グーグルが、オンライン上の詐欺やサイバー犯罪について新たな警告を公開した。その中には、VPNアプリに関する警告も含まれている。「脅威アクターは、正規のVPNサービスを装った悪意のあるアプリケーションを配布しています」。悪意のあるVPNアプリの多くは、信頼されている企業向け・消費者向けのVPNブランドになりすますか、ソーシャルエンジニアリングの誘い文句を用いる。

欧米のポルノ規制の強化が、VPN利用者の急増を招く

米欧の立法当局は、アダルトサイトの全面遮断、またはコンテンツにアクセスする利用者に対して本人確認・年齢確認を厳格化する流れにある。今や、数億人規模のスマートフォン利用者がポルノの禁止や制限の対象だ。

この動きは、インターネットがどのように機能しているのかという点において、根本的誤解に基づく措置といえる。またこれは、何百万人もの自由に対して深刻な影響を長期的に及ぼす。短期的にも重大な脅威があり、筆者は、グーグルによる先の警告を招いたと考えている。

英国が根本的な変化を引き起こしかねない震源地に

英国、また米国の複数の州がさまざまな形でポルノ禁止を制定している。なかでも、インターネットの自由について、より根本的な変化を引き起こしかねない引き金が英国である。同国はポルノサイトに年齢確認を義務づけており、それによってポルノの利用が壊滅的に減ったと伝えられている。しかし、それは明らかにナンセンスであり、実際にはそのようなことはまったく起きていない。そのため同国は今、クラウド暗号化をめぐるアップルとの対立を想起させる新たな領域に踏み込もうとしているようにみえる。

ポルノ規制について英国で実際に起きたことは、米国と同様VPN(仮想プライベートネットワーク)利用の急増だ。英国のポルノサイト利用者は、今や別の場所にいるふりをして、規制のない国にあるサーバー経由でPornhubなどのサイトにアクセスしている。資金洗浄やオンライン賭博と同じく、インターネットに関する限り、地域の法律を単独で適用しても意味をなさないことを立法者が思い知りつつある。

英国でVPN禁止を匂わせる動きが浮上か

今や英国はVPN禁止というアイデアを匂わせている。同国は、中国ですら行っていない形で、iCloud(アイクラウド)の暗号化禁止に関して国内のアップルのユーザーを制限した経緯がある。同様に、インターネットの統制に強く固執するあまり、VPNでも同様のことをしかねない。残念ながら、これは英国だけではない。米国の一部の立法者も、実行可能であれば同じことをするだろう

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翻訳=酒匂寛

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